一通のメールで始まった恋は
一通のメールで終わってしまうのだろうか?
5月の連休明け辺りから二人の間に
微妙な空気が流れ始めた。
彼の仕事がどんどん忙しくなり
仕事の終わる時間がどんどん遅くなった。
最初は最近遅いなぁ、ゆっくり会えなくて
さみしいなぁ、と思っていた。
だんだん2~3時間待ってやっと会えても
そこから私の家まで車で送ってくれるだけになった。
今日こそは、今日こそは早く切り上げて
二人でゆっくり合う時間を作ってくれるんじゃないか。
そう毎日期待しては裏切られた。
気づけば一週間、二週間とそんな日々が続いた。
せっかく会っている時間は楽しく過ごしたいと
毎日言いたいことを我慢して笑って過ごした。
でも時どきどうしようもなく辛くなり彼に当たった。
どうしてこんなに毎日遅いの?
もうずっとゆっくりデートしてない。
もう私と抱き合いたいと思わないの?
彼はそんなことないよ、とは言うものの
状況は全く変わらなかった。
ある日彼から意味の分からないメールが届いた。
どういう意味?と数通メールのやり取りをしてから
彼からごめん、送信先間違えたというメールが来た。
今まで10ヶ月くらいの付き合いの中で
数え切れないくらいたくさんのメールをやり取りしてきた。
彼が間違いメールを送ってきたことは一度もなかった。
私のアドレスはシークレットになっているし
秘密のフォルダにされていてロックも掛かっている。
家へのメールと同時にやり取りしてたから間違えたという
彼の言い訳を私はどうしても信じられなかった。
きっと他にも誰かとメールしてるんだ。
もしかして仕事だと言ってその子とデートしてるのかも。
悪い想像はどこまでも膨らんで行き
電話での言い合いはどんどんエスカレートした。
でもどんなに言い合っても結局私は彼から
離れたいとは思えなかった。
納得するには程遠いけれどそのまま
なんとなく仲直りをして電話を切った。
このとき心に沸いた疑いの小石は今もまだ
私の胸の中にある。