わが学童保育「デフキッズ」は、聴覚障害児を対象に手話を通して、様々な体験を子どもたちに提供している。
一般社会の中で、聴覚障害者は
マイノリティ(言語的少数者)
とも位置づけられている風潮が、ろう者の中にはある。
聴覚障害児たちには、たくさんの手話の世界を提供することで、一般社会との変わらぬ充実した情報や体験を吸収し、
「ろうの世界」もいいもんだ
今の自分でもいいんだ
と思ってもらいたいといつも思っている。
しかし、現実的には数人の子どもたちの口から
「やっぱり聴者になりたかった」
と。
「聴者になったら、いろんな人と(不自由なく)ペラペラしゃべりたい」
それを聞いて、胸が痛かった。
やはり聴者であることへの強い憧れがあるのだろう…。
多分、聴覚障害者みんなの思いの根底には、そういう憧憬があるのかも知れない。
手話の世界もいいもんだ、
と思ってもらえる環境を提供するとともに、
ありのままの自分でもいいんだ
という自らのアイデンティティを自然に肯定できるようできることを子どもたちと一緒に探しながら
接していきたいと思っている。