逆言葉（さかことば）文化とは

日本の文化にみられるもののひとつに「逆言葉」がある。例えば「田森」と「森田」などの苗字などに見られるもので、どちらかが親で片方が子にあたると言われている。この逆言葉にあたる事例を三点あげてみたい。

１．群馬県「猿ヶ京」の例

　　猿ヶ京に伝えられている事例では、「猿ヶ京」の地名の起こりは「今日が猿の日」という表現からだと伝えられている。「今日が猿の日、今日が猿、今日が猿」と唱えているうちに「猿ヶ京」になったと言うことである。

「今日が猿」を何度も唱えているうちに「猿ヶ京」になったと伝えられている。

（写真はフリー画像参照）

２．長崎県佐世保市の例

　船が港に入って来たとき、強風が吹き荒れた。そのとき船頭が「帆させ！」と何度も唱えているうちに「させほ」になったと伝えられている。

船が港に入る時、強風が吹きだし船頭が「帆させ！」と唱えているうちに「させほ」になった。

（写真はフリー画像参照）

３．東京都あきる野市の例

　あきる野市戸倉地区には「むかえ坂」と呼ばれる坂がある。この坂も日本の坂言葉文化から紐解いていくと、諸国巡礼から代参者が帰って来たとき、村人が総出で巡礼者を迎える行事を「酒迎え（さかむかえ）」と言った。この「酒むかえ」から「むかえ坂」に坂の名称がつけられた、と判断することができる。

諸国巡礼者が無事に帰って来たときに行われる行事を「酒迎え」といった。

あきる野市戸倉地区にある「むかえ坂」

民話から読み解く日本の逆言葉文化