スタンダールの代表作である「赤と黒」を読みました。

ずっと読もうと思っていましたが、この前読んだニーチェの「この人を見よ」にスタンダールの名前が挙がっていたので買ってみました。

結構長いので時間はかかりましたが、オースティンの「傲慢と偏見」のようにさっと読める感じです。

スタンダールの恋人がモデルのマチルドと母がモデルのレナール夫人との恋と、また野心に燃えるジュリアンの階級を超える程の飛躍がメインのお話しです。

現実の事件が元になっているこの作品は、鋭い社会風刺と緻密な心理描写がなされています。

当時からジュリアンの性格は批判されていたようですが、やはり少し現実味がありません。

突発的で野心的で、サヴァン症候群並の記憶力を持っています。

多分ジュリアンが美貌を有していなかったらこうまで上に上がる事は無かったのだろうと思いますが、ジュリアンに敵が多いのもまた同様の理由なのかなと思います。

読んでて一番グッと来たシーンは、ジュリアンが死を前にしてお金や地位や名誉ではなく、ヴェルジーのような山奥で静かに日を送る事こそが「本当の幸せ」だったという事を見出したところです。

「野心」という目的を持ってずっと頑張ってきたジュリアンが全てを失い、死と向き合って初めて気がついた幸せ。

これに対し、美貌、財産、地位、権力、名誉――幸福以外の全てを持って生まれてきたマチルドにとって初めて見つけた幸せはジュリアンに対する恋心でした。

幸福の定義は個人によって変わると思いますが、凄く考えさせられる小説でした。

因みにジュリアンの最後まで神を疑い続けた姿勢がニーチェにも通じるものがあったのだと思いました。

スタンダールのお墓はモンマルトルにあるらしいのですが、僕が行った時はそんな事はつゆ知らずだったので確認してないです。

墓碑銘は有名な「ミラノ人アッリゴ・ベイレ 書いた 愛した 生きた」です。

また今度パリに行ったら見に行こうと思います。