☆ 司法でも会計でもそうだが,広範な知識が必要な時代になった。狭い世間で生きている同士がひょんなことから対決することになると,このような事態になる。
- 公認会計士vs特捜検察/細野 祐二
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☆ 筆者の見るところ,著者の言い分は正しいと推定される。少なくとも「罪刑法定主義」や「推定無罪」といったボーダーライン上のルールまで見極める必要なく,この著者はイノセントであろう。
☆ そうならないところに今の専門集団の問題がある。実は自分が追い込まれた側にある会計士だって,決算実務では「専門モンスター」化している己の姿に気付いてない。
☆ 似たようなことは土曜日の「大機小機」で盤側が開陳している意見だ。法曹のキャリア形成ということを考えた場合,盤側の指摘は正しい。しかし「その前」に己の姿を鏡にでも映してみよ。そこに立っているのは一匹の「専門モンスター」ではないのか?
☆ この国が愚かしさを増していくのは,広範な雑食的知識を持つ懐の広い人材が特に専門分野で払拭してしまったからだ。それは戦後教育(特に1950~80年代)の失策の成果であり,まだ国民の方に覚悟のあった前半と「覚悟」の何たるかを知らずに育った後半とを同じ視線で捉えるのはフェアネスに反する。
☆ 「専門バカ」だけならまだ可愛い。それに「上下関係」と「不要切捨て偏差値+過去問楽勝主義」が決定的に悪化させてしまった。さっき「モンスター」と書いたが,最初は単なる「ミュータント」だったはずだ。ウイルス同様「痴(知ではない)的パンデミック」が既に起こってしまったとしか言いようがない。
☆ 気の毒な話である。