泣いて馬謖を斬る=ホンダのF1撤退報道を見て= | Market Cafe Revival (Since 1998)

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四つの単語でできた言葉の中で、最も高くつくものは「今度ばかりは違う」である(This time is different.)。

 F1レース活動について


 私どもHondaは、このたび、2008年をもってF1レース活動から撤退することを決定いたしました。


 サブプライム問題に端を発した金融危機と、それらに伴う信用危機、各国に広がった実体経済の急速な後退により、Hondaを取り巻くビジネス環境は急速に悪化してきています。当面の世界経済は不透明さを増すばかりであり、回復にはしばらく時間がかかることが予想されます。


 Hondaはこの急激かつ大幅な市場環境の悪化に対し、迅速かつフレキシブルに対応をしてきましたが、将来への投資も含め、さらに経営資源の効率的な再配分が必要との認識から、F1活動からの撤退を決定いたしました。今後のHonda Racing F1 Team、英国でエンジンの供給を行ってきたHonda Racing Development Ltd.については、チーム売却の可能性も含め従業員と協議にはいります。


 Hondaは第3期のF1活動として、2000年よりB・A・Rとの共同開発という新しい形での参戦をいたしました。その後のF1を取り巻く環境変化により2006年よりHondaが100%出資するチームとしての運営に移行しました。最高峰のレースへの挑戦は、思いのほか厳しい道のりでしたが、多くの応援を頂き、2006年に貴重な1勝をあげることができました。頂いたご声援に十分お応えすることなく撤退の決定をすることは大変困難をともなう決断でした。


 今後は、この激動の時代を生き抜き、レースで培われたチァレンジング・スピリットをもって、 様々な新たな課題に引き続き挑戦し続けてまいります。


 これまで、ご声援をくださった多くのファンの皆様、そして活動を支えてくださったF1界の皆様に対し、心よりお礼申し上げます。


 尚、来年、鈴鹿サーキットでは予定どおりF1日本グランプリを開催いたします。来シーズンに向けての改修工事も順調に進んでおります。


 ありがとうございました。


 本田技研工業株式会社


 代表取締役社長


 福井 威夫


☆ ホンダがF1を撤退する。ホンダにとってF1の重さが軽くなったからではない。FIAの腐敗が進行しているからでもない。これが経営判断というものだと思う。


① 非正規労働者を削減しながらレース活動を続けることが可能か?

② ホンダという企業の今の「大きさ」を考えた場合F1撤退と継続ではどちらがダメージが大きくなるか?

③ ホンダがレース活動する欧州市場はどうか,更に来年どうなるか?


☆ 福井氏のキャリアを考えた場合「F1撤退」は断腸の思いであっただろう。また航空機事業についても継続は難しくなるかもしれない。こういうのを「泣いて馬謖を斬る」という。モータースポーツファンの怒りは買うかもしれないが,この決断を下せるホンダにはまだ投資する価値が残っていると思う。