「コッペリオン」 | 雑踏に紛れて

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風の吹くまま、雲の赴くまま、常に過ぎ行く刹那、
闘うナルシスト、エゴイスト、ギタリスト、
日々の状態や思うがままの主観、

 

 

 

 

 

「コッペリオン」

 

13話。

 

 

 

色々と公開に当たって苦労されたであろう作品。

 

というのも舞台が何やら物騒なもので汚染された東京らしい。

その世界観は、まぁ近未来SFアニメとしては、そう目新しいものではない。

 

アニメ化が決まって、おそらくその公開時期であろう時に、

奇しくも東日本大震災は起きた。

そして福島第一原発事故があり、とりあえずこの日本社会はとんでもない、

災害で大騒ぎしていたその最中だった。

 

近未来SFではよくあるけれど、

その年号(もちろん未来で数十年後、という設定が多い)や舞台となる旧市街など、

そういう諸々のものが何だかとっても不吉で不謹慎なものを、

想起させるような設定であった。

 

当然公開時期は遅れ、当初の発表より2年経過の後、2013年からの放送となった。

うーむ、確かにこの頃は何でもかんでもいちいち、

人々の琴線に触れるようなことが多々あったし、

社会の情勢も不安定だった。

 

そりゃ、不謹慎と言われても仕方ないような、そんな雰囲気ではある。

実際それを言ったら他にも似たような作品は大量にあるわけで、

そのどれもこれもを一緒くたにひっくるめて否定するのは間違っている。

 

アキラだってそうだろう、伝染病を題材とした映画作品だって多くある。

創作物って今や飽和状態に近いとは思うけれど、

そういうところに網をかけるべきではない。

 

元々自由であっていいのだ、いい筈なのだ。

このところの様々な柵がじわじわと締め付けを強めてこようとも、

そんなものに屈してはいけない。

 

というような時代背景があっての舞台設定だ。

背景となる荒廃した大都市や、空の色、風化の進んだ景色に、

汚染された空気。

そんなものの色彩が本当に独特で、すごーく絶妙なリアルとアンリアル。

 

風が吹くとそれだけで大惨事、みたいな汚染のされ方なんかが、

描写として僕の心にピタリとハマった。

 

そして主役たちは、そんな極度に汚染された環境下でも何事もないように、

自由に動けるよう遺伝子を操作された少女たち。(当然並外れた身体能力を有す)

 

勢力がいくつかあって、結局のところ、その一端を担うところ(第1師団)は、

何が目的だったのか、すらよく分からないまま物語は終わってしまうのだけれど。

 

要するに、雰囲気は抜群にいいのに、

いまいちその作品自体が元々持っていたポテンシャルを、

全く発揮できずに終わってしまった、いや、終わらされてしまった、

めっちゃ残念なアニメ作となってしまっている。

 

本当に勿体ない・・・。

 

確か似たようなものが他にもあったな。

うむ、何だっただろう、思い出せない。

 

あまりに多くのタイトルを観ているせいで、

最近その設定や登場人物の名前、地名、そんな物が頭の中で、

氾濫して大災害になっている。

 

とにかく、コッペリオンについて書いておかねば、

後で何がどうなってどんな感想を抱いたか、

そういう僕の記憶の一部がどんどん曖昧という沼地に沈んでしまいそうなのだ。

 

つまりは、その特殊な少女たちの他に、まだ生き残って、

その旧市街に住んでいる人間たちもいるわけで、

そういう連中は当然ながら防毒マスクをしないと死んでしまう通常人類。

 

で、何故か軍やら例の第1師団やら、何やらが争っていて、

本当ははっきりさせたかったであろうそれぞれの真の目的のために、

各々は動いている。

 

これはもうアニメの作品の中でカットされてしまった部分で、

はっきり言って、もう不明としか言いようがないのだけれど、

それなりに人間ドラマみたいな物語が存在し、

大きな危機を回避するという一時的な目的に向かって、

登場人物たちが奮闘するわけだ。

 

うん、自分で書いてて、この作品をすごい勢いで、

disってるような気になってきたけれど、当然そうではない。

 

僕は正直この世界観を独自の作画で表現しようとしたそんな姿勢には、

敬意を表したいと思っている。

 

実際僕は続きを楽しみに観ていたし、

そしてクライマックスになるシーンでは、きちんと物語に入り込んで、

その大きな風の流れを感じることができたのだ。

 

で・・・でも・・・、

あぁ、残念だ、勿体ない。

 

最後の最後まで丁寧な説明はなされずに終わってしまった。

作戦は成功して、それなりにあぁ良かったね、っていうエンディングではあったが、

まるっきり釈然としない大きな疑問符がどかんと残ってしまったのは、

紛れもない事実。

 

これ、続きがあるのかな・・・。

なければ、原作が知りたいと今更ながらに思うのだけれど、

(えーと、調べた結果マガジンで連載してたマンガだと判明)

これ、読んでみようかな・・・。面白そうだ。

 

というか、そんなに大きな疑問符が残った時点で読めよ、というツッコミ待ちでもある。

でもまぁ、これはこれで、良さを見つけた好きな作品の一つ。

BGVにでかい画面に流しておきたい、それくらい雰囲気のいいものだった。

 

でも、どうなんだ?
実際マスクがないと外に出られない世界、それが東京で、

建屋が損壊し、荒廃した都市部、うむ、冗談にもならないリアルではあるけれど・・・。