「Re:ゼロから始める異世界生活」 | 雑踏に紛れて

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「Re:ゼロから始める異世界生活」

 

25話。

 

リゼロ、ってやつですね。

Memory Snow、っていうOVAも気になるところなんだけど。

 

この界隈では随分有名な(?)作品らしく、

レビューも多く、評価もそこそこ高いところを維持してる。

 

例によって、あまりそういうのは気にせず、

期待し過ぎないよう、先入観を持たないよう、予備知識を入れないよう、

ま、そもそも、親しい友人から勧められていたこともあり・・・。

 

バッドエンドになると、セーブポイントまで強制的に戻される、

簡単に言っちゃえば、そういう物語だ。

 

要するに、その名の通り、異世界召喚で、それなりの罠やピンチ、

クエストみたいな困難があって、それを正確にクリアしないと、

無情にも殺されてしまい、一気に物語のねじを強引に巻かれて、

あるポイントまで戻されちゃってやり直しー、的な話。

 

おお、珍しく、要約してみたぞ。

 

僕が感じたとにかくこの作品の最も大きな特徴は、

「うるさい!」ということかな。

 

セリフが物凄く多いし、我を忘れて叫ぶシーン、しかも超絶に長い言葉。

中盤で、何度やってもうまくいかないことに項垂れ、諦めようとした主人公、

ネガティブ炸裂、めちゃくちゃイライラさせられること請け合いのところが、

何とも良い(笑)

 

最後の最後まで、御託が多くて、

ともあれ時に、なぬー!と観てる側が仰け反るような、展開と新キャラ。

終わってみて、そうか、こういう布石だったのか、ということがストンと落ちる。

 

これは物語的な伏線のことを言っているのではない。

僕が言いたいのは、飽くまで演出のこと。

 

最近、気づいたのだけれど、

よく、オススメ作品何かなーい?なんて安易に聞いて、

これはいいぞー、って言われたものを取り敢えず抑えておこうと観るのだけれど、

当然のことながら、面白さをどこに求めているか、によって、

その印象や感想は大きく異なる。

 

なので、あれ?これって?前評判ほど?とかそういうのは必ずあるわけで、

そうすると、僕の秘技、いいところを自然に見つけてしまう癖が、上手に働かない。

 

それで、分かったのだ。

よくアニメの話なんかをしている友人と、全く意見が合わないこと。

 

そこにはたと気づいてから、色んなことが納得できた、という副産物もあって。

端的に言うと、僕はあまりストーリー性というものを重視しないという傾向。

物語的に、小説でも読むように、その展開や伏線の回収なんかを主軸に観ると、

僕の感想とはかけ離れてくる。

 

じゃ、僕は何を観てるかと言うと、

作画と演出だ。

 

せっかくアニメという相当に自由な世界観を、ビジュアルとしてみているのだ。

まずは目に入ってくる映像の特徴、物語の流れではなく、一つ一つのセリフの言い回し。

そしてその見せ方なのだ。

とにかく、僕にとっては、ここは絶対に軽視できないところで、

譲れない部分である。

 

というようなことに、この作品と、もう一つ、かの有名な「ひぐらしのなく頃に」で気づき、

あーーー!!って思わず大きく頷いたのだ。

 

確かに、よくできてた。

最近の安易な美少女系低予算アニメとは全然違う、気合の入った作品。

最終局面になって、やっと色んなキャラやそれぞれに与えられた役割が浸透して、

なるほど、そういうことか、なんてフッとまた新しい面白さに感づいたりする。

 

ナツキ・スバルというめちゃくちゃ適当な性格の主人公が、

挑み、敗れ、戦い、敗れ、逃げ、敗れ、なのに絶対に諦めないその姿が、

決死の長台詞と、それを支えた愛の告白で、そこの異常な執念を表現した。

 

これは何度でも手を変え品を変えた不幸が、延々と襲ってくる物語。

心が折れる時も、その折れ方はハンパない。

そりゃそうだ、いくらアニメの中、それも異世界なんて設定。

リアルさなんてどこ吹く風なのだけれど、何故なのか、ここに登場する生き物たちは、

すごく人間臭くて、弱く乏しく、それでいて強い。

 

きっとそういうことなんだな、って僕は終わってみて、ふむふむと唸る。

何気に浸透してきたものは結構有意義で、単純に面白いし、含むところを思わせる。

 

そして僕はやっぱり、思うのだ。

この世の理、その決まりきった運命を何度だってやり直して、ぶった切って進む姿を。

 

結局、そこに敷かれたレールはどうしたって簡単には動かせない。

もしもそれに乗ってしまったならば最後、運命に翻弄され、死してバッドエンド。

 

こんな風にやり直せるのならどんなにかいいだろ・・・、

と思ったところで、僕の思考は強制的に停止する。

 

あれ?いや、違う。

こんなにももがき苦しんで、本当に毎度毎度目一杯痛い目を見ながら死んでゆく。

そんなの、何回も耐えられるわけがない。

 

死すことなんて、一回で十分。

やり直すことを前提に生きるなんて、本当に馬鹿げてる、と思うのだ。

 

おそらくは、一度しかないから儚くも美しい人生というもの、

そういう理想を僕は信じたいのかも知れないと、

この物語を見て思ったのだ。

 

運命に抗って、最終的に最善のエンディングを迎えるために、

僕は正直、ここまで強くはなれないし、

劇中で描かれているように、大きな挫折に心折れるだろう。

 

感じ方はそれぞれ。

 

しかし、結構見てるだけで、体に痛みが走るような面白さだった。

 

 

 

 

 

やり直せないから、というだけじゃなくて、

運命に抗える可能性が少しでもあるなら、というような、

それこそ儚く小さな望み。

 

 

僕は一つの道しか歩めないという真理を、

ぎゅっと噛み締めて。

 

 

出来ることなら、良いエンディングのために。

なーんて、ふと思ってみた。

 

どっちにしろ、変えられないからそれを運命と呼ぶって言うのにね。