韓国で感じたことを忘れないように、日記に付けたいと思います。
エンジニアに技術的な下地もプライドもなく、プロジェクトにおける各部門の定義も曖昧組織だったので、本来エンジニアが責任を持つべき案件にも購買部門が勝手をやる。
購買の成果というのは、如何にモノを安く買うことなのは当然なのだが、そのためのネゴにロジックも何もない。
『いいから、この数字以下に下げろ!』
知性の欠片も感じられない仕事の仕方。
逆に前職では、ネゴのロジックもエンジニアの所掌範囲だった。
『以前のプロジェクトでは、同じ様な仕様を◯◯くらいで買っていて、その当時より油価も下がっているし、ステンレスの市況も落ち着いている』
ちょっとググれば分かる情報である。
当時自分の担当していた機器の購買担当はPという女性だった。
或る日、付き合いの長い日系大手企業の営業担当から電話があった。
『貴社のPさんから、「今回のポンプでは強制給油装置を外して、◯◯割値引きして欲しい。おたく以外は強制給油装置無しの仕様だから、このまま進めても絶対勝てませんよ」と電話が来ましたが、本当ですか?今回の要求で強制給油無しは厳しいですし、他社さんも本当に強制給油無しなんですか!?』
P女史が自分の成績の為に勝手に先走って、技術部門に確認せずネゴをしていた。
彼女に工学の基礎も無いし、過去の社内実績も確認していなかっただろう。
同様の問い合わせが他の日系企業からもあった。
この越権行為にはいたくプライドを傷付けられた。
久しぶりにハラワタが煮え繰り返ったので、P女史へは然るべきルートを通してクレームした。
こんなことは日常茶飯事らしく、日欧米メーカーはS社購買部門は社外からは信頼されず競争力は低下していった。
S社の元後輩で日系エンジニアリング企業の購買部門で働いているK女史から言われたことが印象深い。
『以前おっしゃってた、「M社の購買部門は技術のことになんて殆ど関与しないよ」ということの意味が分かりました。今働いているT社は購買と技術の所掌わがはっきりしているので、私たちは価格ネゴや商務条件のことに集中出来ます。技術的な内容は、技術部門の方が責任を持って詰めてくれます。S社は技術部門も技術に関して詰めが不十分だったので、購買部門がその尻拭いをしてました。』
そんなS社は人材の流出が止まらず、新たな案件の受注活動もまま成らないらしい。
エンジニアのプライドこそ技術立国の利益の源泉ではないかと思う。