派遣村閉村で一息ついたと思われた派遣切り問題だが、パナソニックの工場閉鎖による1万5千人の人員削減が発表され一息どころかさらなる深みに転落してしまったといえよう。運不運で片付けてしまっていいものだろうか。昨年末、日経新聞で「最悪の年になるしれない」と竹中平蔵氏の言葉通り、派遣切り問題が派遣村からトヨタ、パナソニックといった日本を代表する大企業までにも、いとも容易く伝染し、マスコミに発表され、この問題をますます加速させている。2009年製造業派遣雇用問題もあり、本日のNHKでも特集があるように今、最も関心があり市民が、社会が、政治が早急に対策を発動する問題である。

 「反貧困」の著者湯浅氏は派遣村村長であった社会活動家で、貧困現場で奉仕する実務家だ。彼のような底辺の人の側に立ち、社会に対して提言する人材が、この増大し続ける派遣切り問題にもはや追いついていない。人材が不足している。彼のような市民活動家がもっと必要だし、もう政治にも期待できないから、社会を動かす市民が力を出して立ち上げらなくてはならないときがきている。

反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)/湯浅 誠
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