アフリカにょろり旅 (講談社文庫)/青山 潤
¥630
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膨大な量の新刊が出版されている。読みたい本は単行本で読みたいところだが、金銭的にも時間的にも余裕がないため全部は無理で、それならと文庫になったら読もうと思っているとそれもあっという間にやってきてしまう。文庫になったら読む本リストを作ってせっせとまだまだかと待ちわびている。ところが同時に新刊も出版され続けているから、ついうっかりしていると見過ごしてしまう。どのタイミングでいつ文庫になるのかも決まりはないから計画的に狙った文庫を購入するのは難しい。
 この文庫になったら読む本リストに2年という短いスパンで手にできた本がある。「アフリカにょろり旅」である。この本はエンタメノンフという新ジャンルが書店にでき始め、その面白さに賛同する書店が増えていた頃に突如として現れた冒険記で、他の多くの書店で次々に新設していくエンタメノンフ棚を私は横目で見ながら棚の都合上、設置を断念せざるをえなかった辛い思いが蘇った。この「アフリカにょろり旅」の文庫化は私にとって、エンタメノンフへの思いを再び掻き立ててくれた。
 それはこの本がなによりもエンタメノンフの魅力を余すことなく体感できる傑作であるからだ。幻のうなぎを獲るという目的で向かっのたアフリカの地。命をかけてうなぎ捕獲に奔走する2人の珍道中。これぞまさに研究者の姿であってすべての研究者の鏡である。