北京オリンピック開催まであとわずか。スポーツの感動はスタジアムで生で観戦するが一番いいが、経済的にも時間的も厳しい。そしてなにより北京開催があまりにも興味が湧かない。そこでテレビで観戦。これが最も安上がりで楽しめる。テレビで見るのと同時に、本も読んでいただきたい。日夜、テレビに釘付けで読書どころではないといわれそうだが、いろんな競技があるわけだし、どうせ見るならただ勝った負けたの結果だけでは面白くないから、せめてルールや技の難易度、有力選手、日本人選手、世界記録など。歴史が深いオリンピックだからこそ学ぶべきことは多い。4年に1度の世界のスポーツ祭典を見るたびに、見ているほうにも刻まれるなにかがあってもいい。

 そう思ったのは沢木耕太郎氏の1936年のベルリンオリンピックを扱った長編ノンフィクション「オリンピア」と1996年のアテネオリンピックを扱った「冠」を読んでからだ。オリンピックという崇高な世界の祭典も、世界権力、巨大資本、メディアによって操られたゲームにすぎないが、人間の限界に挑戦し活躍する選手の姿を見てはそんな裏で行なわれている虚しい現実を忘れさせる感動を与えてくれる。ゆっくりと滅びの道をゆくオリンピックが形を少しづつ変えながらも、こうして残り続ける理由はまさにスポーツという競技の魅力と世界記録をめぜし限界を超えようとする人間の古来から変わらない姿があるからなるのだ。
テレビの特集で見るからいいよと言わずに書店で北京オリッピック特集の本をまず買ってもらいたい。

オリンピア―ナチスの森で/沢木 耕太郎