独白するユニバーサル横メルカトル
平山 夢明
読んでて吐きそうになった。もともと読書のリアクションは大きい方で、泣いたり笑ったり、途中でお腹痛くなったり、胃痛がすることもある。特に体調子が悪くなるのは、作品の内容から生じた違和感ではなくて、ただ単に本当に調子が悪かっただけだとこれまでは思っていた。しかし、30分前に夕飯で食べた生鱈の煮付けを嘔吐しそうになったのは、間違いなく「独白するユニバーサル横メルカトル」を読んだのが原因だ。
 8編からなる短編集だが、どれも強烈に狂気に満ちたグロテスクな描写があり、映像なら当然放送禁止になるだろうし、本だから大丈夫とはいえ、検閲があった時代なら出版指し止めになってもおかしくない。
面白くなくて途中で読むのをやめる本はあるが、あまりのグロさに気持ち悪くて読むのをやめようと思ったのははじめて。途中の休憩を挟まなかったら、鱈の子が逆流してそれこそリアルになるところだった。そんな苦痛を味わっても全部読んでしまうのは、この作品の持つ最大の魅力なのだ。グロければグロいほど、深みをもっともっと読みたい、究極のグロさに出会えるかもしれないという好奇心を刺激する恐ろしさ。食後に読むのは絶対禁止。さらに目立つような形でおススメPOPも付けられない。そういった意味でもこれはすごい作品だと思う。