最近の作家は素顔の露出が多すぎる。新刊帯には決まって写真付。作家は顔で勝負していい時代になったみたいだ。昔はよほどの著名な作家を除いては、ほとんど顔を見たことがない作家のほうが多かった。作家は顔ではなく文章で勝負するから作家であって、ビジュアル的にかわいいからといって騒ぎすぎ。
 いつもはほとんど定期購読のコアな文芸ファンしか読まない「文藝」冬号が異様に売れている。それはビジュアル系作家の代表格といえる綿谷りさの新作「夢を与える」が掲載されているからだ。2004年に芥川賞の歴史に残る最年少ダブル受賞で話題となった現役の女子大生のお嬢様で、あの頃「若い子達が”オヤジたちのオアシス月刊文芸春秋”を買いに書店に押し寄せた」と、今や芥川賞伝説として語り草となっているほど。綿谷りさはどうしてもビジュアル先行で人気があるように思えてならない。まだまだ3作しか作品を書いていないのでその実力は未知数だが、女流作家=かわいいという方程式はどうしてもピンとこないのはなぜだろうか。