シールド(盾
)村上 龍, はまの ゆか
村上龍の新刊「盾シールド」には困った。

「13歳のハローワーク」のコンビ(文・村上龍、絵・はまのゆか)の新刊がこれまた同じく幻冬舎から発売された。「13歳のハローワーク」は仕事についてもっと若い頃から関心を示せるようにと、二ート問題が深刻するなかで社会的にも評価され大ヒット作になった。今回、版元、判形同じだったので、当然その続編とばかり思っていた。
 ところが、少しばかり、村上龍の得意のビジネス色を出してしまった。物語であり、絵本でもあり、ビジネス書でもあり、教育書としてもいける。「グッドラック」のような自己啓発書にも近い。いろんな要素を入れすぎて結局どこにも分類できない。しかもコンパクト本主流の今、内容のわりに大型ハードカバーはいただけない。

しかし、村上龍は作品の内容よりも商売がうまい。広告のタイミングや社会問題を先取りできる先見性は
現役作家では文句なく一番だと思う。今回もこのどこの棚にもおくべきか迷う本をどうやってしかけてくるか見物である。