3月23日のNHK「クローズアップ現代」で新書の特集が放送された。


現在、新潮新書「国家の品格」を筆頭に新書が売れている。どの書店も2~3冊は新書がベストテン10に入っている。新書が同時にこんなに売れたことはかつてない。2003年の年間ベスト1に輝いた「バカの壁」もかなり売れたが、それを大幅に上回る売れ方である。


その新書の異常な売れかたにメディアが目をつけるのは当然で、NHKもこの新書現象に注目した。番組の放送後、新書全体の売れ方が格段にアップしたように思う。


このNHKの新書特集番組によってある意味、新書が大衆読み物として定着したといっていい。いいかえれば、文庫に並んで新書の存在が広く世間に認知された。

つい前まで書店の奥のコーナーでひっそり売られていた新書がついにメジャーになったのだ。文庫と値段も本の厚さも大差ないのに、内容の硬さと装丁の地味さで一部のビジネスマンや学生にしか支持されていなかった新書が、志を同じく新書を必死に売ってきた各出版社新書担当と書店の努力によって花咲いた。「バカの壁」から始まり、足掛け3年。念願の新書時代の到来。大変うれしい。


さらに番組では「雑誌の低迷にかわり、新たに新書を読む傾向」とあった。NHKのもつ影響力は以前ほどではないが、この発言は業界の縮図を塗り替える可能性もある。雑誌の復活を願っているが今のところ、まったく突破口が見えない。新書が雑誌に変わる新しい情報媒体。簡単にいくような話ではないが、今後の新書の発展しだいでは十分ありえる。

 この傾向を生んだのも実は「国家の品格」の影響ではないかと考える。「国家の品格」を読んで日本人として危機感を持った証拠でしょう。これまで週刊誌だけを買っていた人が、少しでもためになる新書を読もうと思い、新書を買っているからである。日本の未来を救うのは新書かもしれない。