昨年、ミステリー界で話題を独占した「ダヴィンチコード」が5月20日映画公開を控えて異例のスピードで文庫になった。

最近、単行本から文庫になるまでの期間があまりにも短い。単行本で「ダヴィンチコード」(上)(下)が出版されたのは2004年5月。現在、2006年3月ということは約1年9ヶ月で文庫になった。しかも通例、著者の単行本が出版された順番で文庫になっていくのだが、先に出版されている「天使と悪魔」はまだ文庫になっていない。これでダン・ブラウン氏は納得したのだろうか。


しかもかなり急いで作ったようで、文庫版は値段が上、中、下合わせても単行本の上巻よりも安い。これもあり得ない。装丁に至っては帯を取ると3冊とも同じ。

かつて文庫といえば角川書店といわれていた。ところが、いつからか売れれば、なんでもいいという方向に向かってしまった。

今の多方面で、売上利益至上主義の企業倫理が問われているなかで、この大手出版社のやり方ははたして正しいのか考えさせれる。