橋本治「失楽園の向こう側」を読む。

橋本治の文体はかなり独特で何度となく理解に苦しむ。吉本隆明、大江健三郎に匹敵する難解な文章は、ただ個人的に読解力の乏しい理由で納得できないのかと不安になる。


そんな時は違う本を読み始める。途中でやめて、最近、古本屋の100円均一で買った高橋源一郎の「ジェイムス・ジョイスを読んだ猫」を読み出す。
なんとそこには橋本治の文体批評を高橋源一郎が書いているのではないか。1987年に書かれた本なのにしかも橋本治の新刊文庫を読んでいる最中に、偶然にも手にし、さらに知的なわだかまりをといてくれる内容があった。これを読めと言わんばかりに現われたのだった。


 横断的読書がおこす奇蹟の出来事。偶然の一致。本のシンクロニシティー。私の読書の快楽の1つでもある。その右脳が呼び起こすシンクロは読書の方向性を指し示してもいる。

 そういった読書体験は直感で本を買った時に起こることが多い。この本買おうか迷ってしまう前に手にする本は全部買うことをおすすめしたい。