1月は不思議と美術館に行きたくなる。休みがまとまって取れるせいもある。ゆっくりと絵画や美術鑑賞ができる。今年は「こどものともの絵本展」に行った。


「こどものとも」とは50年間、日本の絵本界をリードしてきた月刊物語絵本。

戦後まもない1956年に創刊された「こどものとも」は、戦後の焼け野原の中で生きる希望をなくした子どもたちの心に火を灯し、様々な形ですばらしい作品を残しつつ、今なお子どもたちに物語の楽しさを届けている。

 

世界の絵本も展示されていたけれど、日本の絵本の芸術性は世界の絵本と比べ物にならないくらいクオリティが高かった。日本の子どもたちは非常に恵まれている。


そこでふと思い出したのが、ベストセラーの新潮新書「国家の品格」である。

この書は日本社会の荒廃を食い止めるべき、情緒の文明の見直しや武士道精神の復活など多くの示唆を含んだ日本論である。日本は江戸時代からノーベル賞があったら、文学や数学の分野で多くの受賞がでたであろうという。その文化的にも洗練された歴史の中で培われた日本人特有の感性があって、世界でも日本人がとりわけ鋭いそうだ。


その日本人の感性の良さは、まさに生まれて読む良質の絵本にもあるのではないか。

いま失われつつある日本人の品格を「こどものとも」の再読によって、せめてこれから育つ幼児には取り戻してほしい。こどものともを読んだはずの子どもがいつからか本を読まなくなってしまう現状を考えながら。


童心に返って絵本の世界にどっぷりつかった1日でした。