地盤調査、やりなよ~ その4 | ダメ営業七転八倒

地盤調査、やりなよ~ その4

 先日、あるところで御一緒した設計士さんに言われた言葉
「大学のセンセイが言ってたけど、結局、スウェーデン調査って当てにならないんでしょ? うちじゃ、もう一切、スウェーデン調査はやってない。軟弱な地盤は改良することにしている。」

 ちょっと待て~い!!と、叫びそうになったが、場が場だったし、そもそも、ヘタレなもので…。しかし、やはり、看過は出来ない。反論しておくことにする。

 上には書かなかったが、「ボーリング調査に比べて」という言葉が入っていたことは書いておかなくてはならない。それは、確かなことなのだ。スウェーデン調査は貫入力がなく、玉石ひとつ礫ひとつあるだけでそこより深いところの調査が出来なくなる、ということが確かにある。また、ボーリング調査は標準貫入試験を1メートルごとにするのが一般的だが、そういうわけで、最低1メートルに1回は土質の採取がある。(必要に応じてそれ以上)。ウチの会社では、通常2メートル、場合によっては3メートルまで、手掘り、もしくは油圧ハンマーと専用のサンプラ-をつかって宅地の調査でも必ず土質の確認は行っているが、基本的に、一般に行われているスウェーデン試験では行われない場合も多いはずである。つまり、スウェーデン・サウンディングだけでは土質の確認はできない。砂質土、シルト、粘性土などなど、土質によって回転回数が同じでも勘算N値が変わってくるし、予測される挙動変化も変わってくる。

 しかしながら、実際には住宅建築のためのボーリング調査というのは余程のことがない限り現実的ではない。というのも、単純に金額の関係。機械の設置など、スウェーデン・サウンディングに比べて大掛かりで、少なくとも10万円は頂きたいところだ。
 かといって、まさか、本当に上の設計士さんが言うみたいに、まったく調査なしで地盤改良というのも、それはそれで、不経済だったりリスキーだったりする。建物の四隅にあたるところが、軟弱なりにも一定している場合は地盤改良でもかまわないと思う(ただし、どうしたって多少の圧密沈下は覚悟しなければならない)。しかしながら、特に建物の重量が影響すると考えられている基礎下5mまでの範囲で問題となる軟弱層の層圧が部分部分で違う場合、表層改良であっても不同沈下を起こす危険性は高いのである。あらかじめ杭長、もしくはコラム改良の深度を検討する為にも四隅の調査は意味のないことではない。
 確かに、ボーリング調査に比べスウェーデン・サウンディングはヘナチョコではあるのだが、これはこれで結構有用なのだ。なめてもらっても困る。

 とかいいながら、まぁね、確かに、何かいい大人の男が竿におもり付けてグリグリまわすって作業も、見た目あんまり有り難味はないかもしれない。で、しかも、そこででてくる報告書が以前紹介した”3万円調査の調査報告書”の如きものであったなら、こんなんだったら、やらなくてもいいのではないか、なんて思われるかもしれない。

 調査業者は、宅地地盤調査にどのようなものを提供しなければいけないか? 設計士さんにあのように言われたことがむしろ、自分たちの仕事を振り返るいい機会となった。感謝している。
 会社のブログに、改良工事業者の調査が「地盤改良が必要であることを証明する為の調査である」のに対し、我々のものは「地盤の全体像を把握する為の調査である」と言うようなことを書いた覚えがあるが、それでは如何にも何も言っていなかった、と、反省。
 調査のテーマはまず、
1何らかの対策が必要な地盤なのか、必要のない地盤なのか
2問題がある地盤だとしたら、適切な対策を立てるために、「地盤の全体像を把握する為の調査」が必要
になる、と。
で、調査の精度、品質だ。
3 スウェーデン・サウンディングは確かに地耐力を把握する為の大きな手がかりではあるが、それがすべてではない。2つ前のエントリーにも書いたが、周辺の観察、採取した土質、付近のボーリングデータ等から、判断されるべきものである。

 件の設計士さん、こうも言った。「調査する人によってものが違ってくるような調査などダメだ。信用できない。」
 これも2個前のエントリーでも書きましたが、実のところ、スウェーデン試験の竿を突刺しておもりつけてグルグルまわして得られるデータ自体は誰が行っても、そう変わるものではない。問題はそれをどう解析するか。これは、スウェーデン・サウンディングに限らず、表面波探査、ボーリング調査であっても同様。
 調査の品質について明確な規定があるわけでも、この仕事に携わるもの全員にその辺についての共通の認識があるわけでもない。業界として、調査の品質向上の努力はしているのだが……。

 上記1どまりの調査であれば、確かに3万円で済むし(それでも貰いすぎかもしれないと思ってしまうときがある)、実際その程度の調査成果なら、やらなくてもいいかな、と思われてしまうのも無理はない。

 ウチの調査は違うよ~!!と声をあげて主張できるし、付き合いのある多くの同業者もそうだ。しかし、いかんせん、そうではない業者が存在することも知っている。

 だからさ、3万円で調査しているおまえら、皆の為だ、調査ヤメろ。とけんか腰で締めくくってみる。