妄想の中だけは、陽気に、呑気に~♪♪
…と、思ったんですけどね(._.)
う~ん、ごめんなさい。
コレが今の私の、精一杯の
「平穏な日常」が、いつでもそこに在りますように。

=====


微かな気配を察して、左隣にちらっと目をやった。
いつも横向きで眠るはずの潤が、虚ろな瞳でボーッと天井を見上げていた。

「どうした?寝つけないのか?」

「…んん、なんか。ちょっと…ね」

喜怒哀楽、いずれにも当てはまらない
かぼそい声を発した。

考えてることは、なんとなくわかった。
たぶん、俺の頭の中と似たようなもんだろ、と思った。

思い悩んで、その結果、何かしらの答えを導き出す必要があるのなら、とことん思考を巡らせるのも悪くはないと思う。

でも。
今日は…違うよ。俺たちの出る幕じゃない。
誰も「答え」なんて求めてないし。
おまえだって、分かってるはずだよな?

とはいえ、変に保護者ぶって
"早く寝ろよ?"なぁんて諭すのも、なんだか違うような気がした。

さてと。
それなら睡魔に襲われるまでの時間を、どう遣り過ごすか…。
今この状況で、本を開いたり 映画をつけてみたところで、そのストーリーを頭がすんなり受け入れてくれるとは到底思えなかった。


「なぁ、潤?」

「ん~」

気だるそうなナマ返事。
俺に心配をかけないよう、思考回路を無理に停止させたのが 見てとれた。

「あんまりさ。深刻に考えんなよ、ってのは…
難しいオーダーか?」

「う~ん、どうだろね。いっそのこと、なにも考えられないような状況をつくってくれた方が、ありがたいかも」

視線は天井に向けたまま、口元だけで静かに笑った。

「それはムチャぶりだな。俺だって、そこまで無神経じゃねぇよ。"今、そんな気分じゃない"、って。顔にしっかり書いてありますけど?」

「そう…なのかな…」

白い指先で自分の頬を数回なぞって、文字を消す素振りをする。

「そうでもない…と思うけど?」

首を右へ回し、目線を俺の方へと移した。
一瞬だけ、大きな瞳がゆらりと揺れた。
複雑な想いが交錯し、自分でも どれが本音なのか解らなくなっているように見えた。


「抱いてよ」

「潤…」

返事に困っていると、潤はすこし寂しそうに目を伏せて、布団のなかで俺の左手をぎゅっと掴んだ。

そんな潤を見て、いま自分たちに何が一番必要か、しばらく黙って考えた。



「やっぱ、やめとく。眠くなるまで おまえのこと、ずっと眺めとくよ。これってかなり贅沢な時間の使い方だろ」

俺自身も不安定な心のまま、今夜は自分を偽らずに自然に委ねようと思った。

「もう…。優しすぎて、意地悪だよね。翔くんて」

「は?どっちだよ。意味わかんねぇ」

こちらが眉をしかめると、すかさず潤がツンデレ爆弾を投下してきた。

「…ありがと、翔くん」

「なっ…!!?やめろよ、礼なんて。気持ちわりぃ」

クスッと微笑むと、潤は俺に身体を預けるように、いつもどおりの横向きの体勢になった。


=====