収録は、なにごともなく無事に終わった。

番組制作側や視聴者が望むような内容だったのかどうかはさておき、潤が機嫌よく過ごしてくれただけで充分だ…と、俺は至ってシンプルに考えていた。


"ナニゴトモナク…"

それが大きな間違いだった。

潤が抱える火種は、帰宅後、俺の一言をキッカケに一気に噴火した。


「なぁ?今日の…。なんだ、あれ。おまえ、余計なことベラベラしゃべりすぎだろ」

別に、潤を責め立てる気なんてなかった。
昨夜は微妙な空気で、ろくに口もきいていなかったし。今夜は久々に酒でも飲みながら2人でゆったり過ごそうぜ…って。
本当にそんな思いだけだった。

"収録、お疲れさんっ"の軽いノリで、たわいもない話を振っただけのつもりがまさか、その言葉にそこまで真剣に喰ってかかってくるとは思わなかった。

「何が余計なのっ?翔くんこそ、なんだよ、あの冷めた態度。あえて『不仲な感じ』を強調する必要、ある!?」

潤の感情を推し測る前に、ついつい俺もオトナゲなく、その売り言葉にカチンときてしまった。

「何がだよ!いつ、誰が『不仲』を強調したって?」

俺はおまえを想って、あえて不要な口出しは避けただけだ。どんな発言をしたって、面白おかしく三流記事のネタにされるだけなんだから。

潤にはそんな俺の意図が全く伝わらなかったってぇのか…。
何やら不満タラタラな様子で、俺に非難の目を向けた。

「普段から妙に不自然に映ってんだよ、俺たち2人だけ。それ、翔くんは自分で気づいてないの!?世間一般的には『嵐はみんな仲いいね!』って言われる中でさ。俺たちだけ、なんだかギクシャクと浮いて見えんだよ?なんでそうなっちゃうの、いっつも翔くんはっ」

「はぁぁぁっ?じゃ、なにかっ!?あの場で『俺たちラブラブです!』とでも言えばよかったのかよ」

「…」

「『俺たち、真面目に付き合ってます』って?堂々と交際宣言でもぶちかませば、おまえはそれで満足すんのかっ!!!!?」

「そんなこと言ってないっ。あぁぁぁっ、もう!!わっかんない人だなっ」

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