☆Kazu-side☆
『ショウちゃん
悪いけど、部屋の荷物は
しばらくそのままにしといて。
そのうち片付けにいくよ。
離れてても、お互い頑張ろうな。
俺はいつだって、ショウちゃんのこと
考えてるから。 サトシ』
短い手紙には、サトシの想いがギュッと凝縮されていた。…少なくとも、俺にはそうとしか思えなかった。
サトシ…
あんただって、まだ
ショウちゃんのことを…
そうなんでしょ?
"日本に戻れることになったら
今度こそ、一緒になろう。
絶対に幸せにするから。
それまで、もう少しだけ辛抱してほしい。
待っててくれよ、ショウちゃん…"
そんなこと、手紙には ひとっことも書いてないのに。
俺の脳ミソは、行間からそんな切実な"誓い"のような感情を読み取ってしまった。
"ば~か、考えすぎだよ"
穏やかに笑ってるサトシの顔が脳裏に浮かんだ。
…俺は。
正直なとこ、進路や仕事なんてどうでもよかったんだ。
ショウちゃんを追って東京に出るためには、どうしても親への説得が必要だっただけ。
親だって、俺を諦めさせるために、あえて実現の見込みのない無理難題を吹っ掛けただけだ。医者になることなんて、誰も本気で望んではいなかった。
ねぇ、ショウちゃん。
俺が居たって、迷惑なだけ…なのかな。
サトシのこと。
俺のこと。
ショウちゃんの目には、どう映っているの?
感情の整理がつかなくなって、つい、部屋を飛び出してしまった。
最低だよ…
まだ熱のあるショウちゃんを放置するなんて。
それどころか。大切な想いの詰まった本や手紙を、勝手に持ち去ってしまうなんて。
自己嫌悪の念に襲われ、俺は行くあてもなく、トボトボと駅のほうへ向かって歩いた。
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