プップップップ…

プーッ、プーッ、プーッ、プー……

だめだ。
応答しないどころか、着信履歴すら残せない。
国際電話は電波が不安定すぎる。
それにサトシくんは仕事中だ。傍らにいつでも電話を携えているとは限らない。

[サトシくん、お願い!できるだけ早く連絡が欲しい。カズが家から出てった。理由は分からない。カズの連絡先が知りたい。あと、アイツが行きそうな所も。今日、仕事休んで家にいるから。連絡待ってる]

急いで打ったメールはひどい文面。文字数制限のある電報のようだった。
言葉足らず過ぎだね。
でも、なんとか意図が伝わればそれでいい。
頼むよ…

"送信"

正常に"送信完了"の表示が出た。


それから暫く音沙汰がなかった。
なんの情報もアテもなく、都内を手当たり次第探し回るなんて、あまりにも無謀すぎる。
カズだって、この辺の土地勘など全然ないはず。そうこうしてるうちに、フラッと帰ってくるかもしれない。
行き違いになってもアイツは鍵を持ってないし…。ヘタに身動きは取れなかった。

もどかしい気持ちをぐっと堪えて、冷たい水で顔を洗い流した。それから、いつでも出かけられるよう身支度を整えた。

時刻は15:30。
今日はまだまだ終わらない。長い1日だ。
…何もなかったことに、なぁんて
できるわけねぇだろっ。なぁ、カズ!?

カズへの心配や歯痒さを噛みしめながら
スマホ画面を食い入るように見つめた。
やはりなんの応答もくる気配がなかった。


カズ…
おまえは、えーっと、俺の5つ下だから
もう18才…
普通にいけば高校卒業、大学進学…か。
サトシくんを頼って上京したんだよな。
たしか今朝、「寝床の確保」がどう、とか呟いてた。

サトシくんが居たら一緒に住むつもりだったんだよな、きっと。
だとしたら…出ていかなきゃダメなのは
…お、俺のほうか!?

い、いや!それは困る。
経済的にも…精神的にも!!
今、ノウノウと部屋探しや引越なんて考える余裕はないよ。サトシくんとの家賃折半、どれだけ助かっていることか。

アイツの言うとおり、寝床の確保…
というよりカズの部屋が必要だ。
手前の部屋のゴタゴタをなんとかする、良いチャンスじゃないか。

カズはきっと戻ってくる。
てか、俺が必ず連れ戻す!!

カズを受け入れる準備をして、サトシくんからの返事を待とう。

それでいいよな…カズ?

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