その場で身動き出来ずにいる俺の様子を、サトシくんは面白そうに眺めていた。

…なんだよ?
ヒトゴトみたいな顔しちゃって。

顔がこわばって、サトシくんのように平然と、上手くは笑えなかった。

「もう…そんな顔、すんなよぉ」

俺が何も言えないでいるのを察知すると
すかさず、サトシくんが拗ねた声を出す。

「だって…。サトシくん。これって…」

サトシくんはまた、クスッと悪戯な笑みを浮かべて言った。

「ショウちゃんはさ、なんでも深く考えすぎなんだよ。たいした意味は無いってば」

意味は、ないの…か……。
ふ~ん。
それはそれで、からかわれてる気もして、なんだかフクザツなんだけど。

「イヤだったら、もうしないよ。驚かせて悪かったな」

「イヤっていうか、その…。そういうんじゃ…ないんだ…けど…」

感情がまとまらなくて、言葉でどう表現したらいいのか困惑した。

「フフン、いいよ。気にすんなって。これからもよろしく頼むな、ショウちゃん。それだけだよっ!!」

よろしく頼む…。
俺はサトシくんに何を頼まれたんだろう?
勉強?変わらぬ友情?それとも…

"あぁ、よくわかんないっ!!!!!"

よくわかんない、けど。
もう1度、サトシくんの目を見てから、
それ以上は何も言葉を交わさずに、俺はコクンと頷いた。



後になって、よくよく考えてみれば。
あれは、サトシくんとの『最初の約束』だったのかもしれない。
彼が昔からよく口にしていた『運命共同体』に対する、彼なりの揺るがない誓いの証。

"これからも、俺たちはずっと一緒だ"と。

その意思を、俺の口からもしっかりと聞き出すことを彼は望んでいたのかもしれない。


まだ幼さの残る、思春期の1歩手前。
戸惑いながら交わした約束が、その数日後には脆くも崩れ去ることになろうとは…
そのときの2人は知る由もなかった。

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