はぁっ…。

なんだかグッタリだ。

これから仕事…だぞ?
いけんのか…俺…。

後ろからフワッと肩を抱かれただけで、呼吸困難になりそうなほど、息苦しくてたまらなかったのに…。
居なくなった途端に虚脱感と喪失感に見舞われた。

ちょっとマジ、揺さぶりすぎだって!
あなたの魂胆は、何よ…。

言われたとおりにさ。
俺自身の心と、ちゃんと向き合ったよ?
すっげぇ久しぶりに。
自分の"声"に、耳を傾けた。

俺は、どうしたい…?
俺は、どうしてほしい…?

もっともっと、いろんな答えが交錯するものだと想像してた。

でも…違った。
その答えには、意外にもすんなりと辿り着いた。

全然『大丈夫』なんかじゃなかった。
俺は、ずっと悲鳴を上げてたんだ。

頭や心の葛藤を、ひとつ残らず吐き出してしまいたいっ…

でも、その前に。

モヤモヤを吐き出す先、すなわち、
吐き出す相手、『受け皿』をずっとずっと求めていたこと。

そして、そんなものは「迷惑以外のナニモノでもない」と。
自分だけで処理して自己完結させるべきものなんだと。
そう結論づけて、今みたいな『俺』が自然と形成されてしまっていたこと。

そのことに気づかされた。

"俺のココロの『受け皿』になってよ…"

そう懇願したかったのに。
気づいたときにはもう、あなたは身を翻してた。

"智くんの…バカッ!!
受け止めてくんないなら、むやみに ほじくり出さないでっ"


コンコンッ…

「櫻井さぁん!!?着替えはお済みですか~」

現実が否応なく立ちはだかって、大きな溜息がこぼれた。

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