さすがに、潤の顔を真上から見下ろす体勢のままじゃ、お互いに落ち着いて話せない。

ふぅ…っと、大きく息をつく。

ふてくされてても、落ち込んでても。
やっぱりその顔立ちは…
溜息が出るくらい、最高に『綺麗』だ。
それをどうやって、否定しろって言うんだよ…?

くっそ、こんな状態で、なんで "オアズケ" 喰らってんだ…俺は…。
なんだか今夜は、何かにつけて調子が狂う。

少しでも気を抜けば、さっきの仕返しと言わんばかりに、いつでも潤の唇を塞ぎにいってしまいそうになる。

片肘をついて、はやる気持ちを抑えながら。
斜め目線で 潤の透き通るような躰をひととおり眺めたあと、潤の本心の部分を突いた。

「で?おまえはさぁ…」

「なに…よ」

怪訝そうにそっぽを向いて、潤が返事だけかえす。

「ひと思いに抱ければ…、誰だって良かったのかよ?」

「は~っ!?ちょっと…翔さんっ。本気で怒るよ?んなわけ、ないでしょっ!!!」

潤がイラついた表情をあからさまにした。

「じゃあ。俺を『本当に』抱こうとしてた?」

「そ…それは……。

俺は、ただ…。
繋がるなら絶対、誰よりも好きな人と、って…そう思って…だから…その…」

やっぱりな。たかぶった感情に溺れただけの、突発的行動だったんだろう。
それは、潤 本来の『欲 求』とは、違うよな?
明らかに。

そう確信した。

「おまえ…なぁ。ヤローを抱く、なんて…簡単にサラッと言うけどさ。想像以上に相当な覚悟がいる事なんだぞ?」

俺の言葉に、潤が表情を曇らせた。

「覚悟…。それは…翔さん…も…??
俺を求めるときって、今でも…そんな感じ、なの?」

「ん~。俺は…なんかもう。なんていうか、色んなことを超越したよ。オンナだろうが、オトコだろうが そんな線引きは関係なくて。『他人』になぁんの興味も そそらなくなった、かな」

「へ…?」

いつのまにか、自分の方が本音をポロリと吐き出してしまっていることに気付いて、急激に恥ずかしくなってきた。

「あぁぁぁぁぁ、もぉ!!!!!だからっ!
くっそ、どうしてくれんだっ、マジで。これ大問題だぞ?

"た た ね ぇ" ん だよ…おまえじゃねーと。
おまえ以外の奴に…びくとも反応しなくなっちまったんだよ?おいっ、潤っ!!!!!
どうすんだ?もう一生、責任とってくれんだろうなぁ?」

「うそ…でしょ?翔さん…」

驚きのあまり、潤が固まった。

「おまえがオンナっぽいなんて、思ったことは一度もねぇよ、俺は。
そのまんまの、おまえがいいの。おまえだけが欲しいの。おまえ以外に興味ねぇんだって!
本当は、誰の目にもふれさせたくねぇんだかんなっ…」

吐き捨てるように、早口でまくし立てた。

すると。
潤の目に、さっきとは違う種類の涙が溢れた。

ほら、そうやって…また、泣く…。。。
仕方ねぇヤツだな、まったく。

一筋の涙がキラッと光り、頬を伝った。

「俺も…だよ?
翔さんからの愛情があれば、他になんにも要らない。男としての俺の欲だって、ちゃんと満たしてくれるし。翔さんの中に、あえて入りたいわけじゃないよ。いつでも、極上の幸せを、翔さんが俺に感じさせてくれるからね」

泣きながら、微笑んだ。

「さっきは…ごめん。どうかしてた」

あぁ…もう。無理だって。
俺、我慢できねぇぞ??

いいんだよ…な?

「潤…」

「はい」

「んじゃあ。もっかい、仕切り直し、ってことで。第1ラウンドからな?」

潤がまた赤面した。
こんなにコロコロと、色んな表情が見られるのも珍しい。

もっと…。もっと俺を、惑わせてくれ…

「ちょっ……もう…。エロい…ね、ほんっと…。
翔さんて、雰囲気とか、全然大事にしてくれないタイプ?」

「ふんっ、知るか、んなことっ!!」

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おしまい。
てか、何ラウンドでも、気が済むまで
どーぞ、ご自由に…。。。