衣装から普段着へ、着替えを済ませた俺は。
意を決して、相葉さんのそばへ歩み寄った。

「相葉さん、あのさぁ…」

「な、なに…潤くん」

相葉さんが不安そうに俺を見て、ほんのわずかだけ後ずさりしたのを、俺の目はきちんと捉えていた。

相葉さんの目が微かに泳いだ。
俺の次の言葉を待っているのか。
それとも、何も聞きたくないのか。
何かに怯えるような表情で、それでも必死に俺から視線を外さないよう、グッと力を込めて堪えている様子が伺えた。
表情筋がこわばって、目尻のシワがピクピクッと痙攣していた。

"俺、こんなに相葉さんのことを追い詰めて。一体、何がしたいんだよ??"

決して、相葉さんの、そんな辛そうな顔が見たかったわけじゃないっ…

どうしてこんなに…俺は…。

「あのさぁ…俺。最近、なんだか。
すんげぇ…訳わかんないぐらい、感情が高ぶっちゃって。毎晩困ってんだよね」

「え…」

「すごく、すごく苦しくて。どうしようもないぐらい、ツライ思いを抱えててさ。こんなこと、初めてだよ…。
早く吐き出さなくちゃ…マジで、自分の仕事に影響でるんじゃないか、って心配になる。どんどん深みに嵌まっていく自分が、恐くなるんだ」

「潤くん…」

「相葉さんは。こんなふうに、自分自身の気持ちが制御不能になったり、っていう経験…。今まである?」

俺は、相葉さんの硬い表情をなんとか崩そうと、自分の中で可能な限り、情けないシケた顔を作ってみた。

「潤くん…。その気持ち…ってのは…」

相葉さんが何かを言いかけて、言葉を飲み込んだ。
俺は一瞬、淡い期待を抱いてしまった。
そんな甘い考えを、即座に否定した。

「俺…いつからだろうなぁ。こんなふうになったの。あはっ、やっばいよね?感情移入しまくりじゃんねぇ?自分の人生かけて、もう病的なくらい愛情注ぎ込みすぎ…だと思うよ。自分でも」

フッと嘲笑って、続けた。

「…『嵐』のことが。
好きすぎて、マジ泣けてくるんだ」

「えっっっ!??」

相葉さんが驚いて両目を見開いた。
明らかに、想像していたことと違う台詞を聞かされた表情だった。
それまで俺の顔を凝視していた視線を落とし、少しだけうなだれた。

「あ、ごめっ。相葉さん!こんな話聞かされても、なんて返していいか困るよねっ?嵐愛が溢れて、何がそんなに問題なの!?って話だよ。ごめんね、今のなしっ!
ね、忘れてくれていいから」

俺は、笑いながら一生懸命とりつくろった。

「やっべ。やっぱ変だわ。
俺、ちょっと外で頭冷やすよ。もう帰るね。おつかれ、相葉さんっ!!!」

気まずくなって、俺は逃げるようにその場を離れようとした。

「………

ちょっと、待ってよ!潤くんっ」

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