とても大人の雰囲気が漂う、
「しっぽりとした」という表現が見事に当てはまる、小料理屋。
座敷の個室で俺たちは、向かい合って座っていた。

「ふふ…ダメ元だったけど、言ってみるもんだな。なんか相葉ちゃんの声が無性に聞きたくなって。まさか、本当に京都で会えるなんて、思ってもみなかったけど」

「俺も、超~っうれしいよ。
だって今回、すんごい分刻みのガチガチのスケジュールでさぁ。あちこち飛び回らされて。
地方ロケは、すっごい楽しいんだけどね。行く先々で『今度は、メンバー全員で来たいなぁ』とか思っちゃうの。
メンバーの顔が何日も見れない、って
マジつらい…。。。
すごく『嵐』が恋しかったんだよ、俺…」

「そこは…メンバーの顔、なんだ??
松潤じゃ、なくて」

「えっ?あぁ、そっか。そう…だよね。
潤はまぁ…そう言われたら、そうなんだけど…。
潤だけじゃなくて。みんなに早く会いたい、ってずっと思ってた」

「あ~あ。それ、松潤には言わない方がいいぞ?
ただでさえ、ヤキモチ焼きなんだからさぁ」

「わかってる。でも、潤はさぁ…」

「ん~?」

「こういうのにも、少し慣れてほしいかな、ってちょっと思ったり。正直な事いうと」

「うわっ、相葉ちゃん、ちょっと序盤から飛ばしすぎじゃ…ない?そんなぶっちゃけ話、大丈夫か??」

「え~っ?おーちゃんだから、話すんだよ?
潤は…ちょっと束縛しすぎるとこ、あるよね。
俺、きみちゃんとか風間とか、伊野尾とか?仲いいヤツ、周りに結構いんじゃん」

「そうだね」

「もちろん、おーちゃんや、翔ちゃんや、ニノとだって。たまにはサシで呑みたいときも、当然、あるわけじゃん?
…そういうの、潤はあからさまに、イヤな顔すんだよなぁ」

「まぁね。そこが松潤の可愛いとこなんだろうけどね」

「おっ!!さっすがリーダー!よく解ってらっしゃる♪」

「おーおー。恒例の、おノロケ大会の始まりですかぁ」

「いや、ノロケじゃないんだって!
マジ、潤はさ。独占欲が強すぎなんだよ!半端ないっ!!きみちゃんなんて、潤には完全に引いてるよっ?
ずっと黙ってたかったけど、俺たちの関係、バレバレだった。
『松潤の視線が恐すぎて、相葉ちゃんには
よう近寄らんわっ!』って」

「それ、相葉ちゃん的には、イヤなの?」

「イヤ…じゃない…けど。
俺のツレとかメンバーに対してまで嫉妬心むき出し、ってのは、ちょっと…ねぇ?」

「そこっ!相葉ちゃん!?そういうとこだよ」

「え?なに??」

ふいに、おーちゃんの視線が鋭く光った。
そして、おもむろに席を立ち上がり、俺に訊いてきた。

「そっちの隣、行っても、いい?」

「え…うん。別に構わない…けど」

おーちゃんは俺のすぐ隣にドサッと腰を下ろし、背中を丸めてあぐらをかいた。

お酒のせいで俺の頬はうっすら赤く上気ぎみ。
その顔を下から覗き込まれるような視線に、
俺はなぜかドギマギしてしまった。

「松潤はきっと、不安がってる。
相葉ちゃんの、みんなに『均等に』振り撒く、その愛情が。
悪いことじゃないんだろうけどさ、特別なヒトからしたら、面白くないわけよ?」

「そんなぁ。潤は『特別』だって。ちゃんと思ってるよぉ?」

「でもさ。松潤にしたら、全然足りてない。満たされてないんだよ。
だから、自分でも本当はしたくもない『束縛』みたいな言動?ついつい、しちゃうんじゃないかなぁ。相葉ちゃんに、自分の方だけを向いてほしいから」

「…なんか。
今日のおーちゃん、やたら語るねぇ。潤のこと、そんなに心配なの??」

「ん~、松潤も…だけど。俺は…」

「ん?」

「相葉ちゃんが、心配」

「俺が、心配っ??な、なんでよ」

「相葉ちゃん、キミ…危険。すっごい危ういヒト…」

「危険…って。意味わかんない。なにそれ??俺のどこが…」

「人を惑わす天才ってこと。天性のサガ、とでも言うのかな。マジで気を付けなよ?うちのメンバー。
…てか。俺も含めて、全員。
あと、事務所の同僚に対しても、ね」

「えっ、えっ…おーちゃん、なに言っ…」 


ちょ、おぉ…ちゃ…ん??


俺は一瞬、なにが起きたのか分からなかった。


隣であぐらをかいていたはずのおーちゃんが。

膝をたてて、中腰の姿勢になって。


ぎゅーーーーー、って。

俺の両肩は、その温かい腕に抱き寄せられて。

彼の胸に、俺のおでこが触れ、
その鼓動の高鳴りを、俺はほぼ直に聞かされた。

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