刑法で75分使い、残り65分で刑訴に入りました。
問題をぱっと見て、所持品検査と排除法則を書けばいいことがわかり安心しました。
ある程度出題を予測していたからです。
しかし実際に書いてみると設問1で思ったより時間がかかり、設問2にかける時間がなくショボい答案になってしまいました。
第1 設問1
1 下線部①の行為について
(1)下線部①の行為は所持品検査として適法にならないか。
(2)職務質問(警察官職務執行法(以下「警職法」という。)2条1項)の対象者の所持品検査を行うことは、職務質問と密接に関連し、職務質問の目的を達成するうえで必要かつ有効な行為であるから、職務質問に付随する行為として認められる。
もっとも、職務質問は行政警察活動の一環であるから、対象者の承諾を得て行うのが原則である。
承諾がない場合は、警察比例の原則から、必要かつ相当な範囲で認められる。具体的には、①事案の性質、②容疑の程度、③対象者の態度などを考慮したうえで相当な行為といえるかどうか判断する。
(3)本件では、①事案は凶器を使用した強盗等犯罪という重大な事案である。また、②容疑の程度については、甲のシャツのへそ付近が不自然に膨らんでいることから甲に対し「服の下に何か持っていませんか」と質問したところ、甲は何も答えずにPらを押しのけて歩き出したため、甲の腹部がPの右手に一瞬当たった際、何か固い物が触れた感触があった。本件は凶器を使用した強盗等の事案であり、甲が当該凶器を持っているという容疑が発生している。さらに、③対象者の態度は、甲はPと目が合うや急に慌てた様子で走り出したり、甲の質問に対し何も答えずに歩きだしたりしている。以上をかんがみると所持品検査を行う必要性がある。そして、甲のシャツの上からへそ付近を右手で触る行為は、固い物が触れたのも右手であったから、同じ右手でその感触が何か確かめる行為として相当であるといえる。
(4)したがって、①の行為は適法である。
2 下線部②の行為について
(1)下線部②の行為は、薬物等犯罪は法定刑が10年以下の懲役だから①重大な事案といえる。また、甲はPが「服の下に隠しているものを出しなさい」と言っているにもかかわらず腹部を押さえているという③対象者の態度からは、薬物を隠しているようにも思えることから②容疑の程度は高いといえる。
しかし、Pらの行為は、Qが背後から甲を羽交い絞めにするという、意志を制圧する態様で行われている。また、甲のシャツの中に手を差し入れており、身体を制約している。したがって相当な行為とはいえず、所持品検査としては適法とならない。
(2)②の行為は、個人の意思を制圧し、身体・住居・財産等を制約して捜査目的を実現する行為だから、強制処分(刑事訴訟法(以下略す)197条1項ただし書)にあたる。甲のシャツの中に手を差し入れている点で身体の捜索(218条1項)といえるから、令状なしに行われた②の行為は違法となるのが原則である。
もっとも、直後に現行犯逮捕が行われていることから、逮捕に伴う捜索差押え(220条1項2号)として適法とならないか。
220条1項2号が令状なしで捜索等を認めた趣旨は、逮捕の現場には証拠の存在する蓋然性が高いため合理的な証拠収集方法として認められるからである。そうすると、逮捕と時間的場所的接着性が認められれば適法な捜索となりうる。
しかし、現行犯逮捕の場合に逮捕前に捜索を認めてしまうと、強制的手段により証拠物を発見し、現行犯逮捕するという手法が横行してしまう。これでは、裁判所の事前審査により人権侵害を防止するという令状主義(憲法35条、法218条1項)の趣旨を没却してしまう。
したがって、現行犯逮捕の場合は逮捕前の捜索は認められないと解する。
以上により②の行為は逮捕に伴う捜索としても適法とならない。
(3)以上より、②の行為は違法である。
第2 設問2
1 本件覚せい剤について違法収集証拠排除法則により証拠能力が否定されないか。
2 違法収集証拠排除法則について明文はない。もっとも、適正手続の保障(憲法31条)の観点から、同法則が認められると解する。具体的には、①令状主義を没却するような重大な違法があり、②その違法が将来の違法捜査抑止の点から相当でない場合には、証拠能力が否定されると解する。
3 本件覚せい剤を取得したのは、覚せい剤取締法違反の現行犯逮捕に伴う差し押さえであり、この手続自体に違法はない。もっとも、先行する手続(下線部②)には違法があることから、この違法が影響しないか。
この点、先行手続によってもたらされた状態を直接利用し、先行手続と同一の目的によって後の手続が行われた場合には、先行手続の違法が後の手続に影響すると解する。
本件では、覚せい剤の差し押さえは、先行する所持品検査によってもたらされた、覚せい剤の発見という状態を直接利用している。また、覚せい剤事犯の捜査という同一目的である。
したがって、先行手続の違法が後の手続に影響する。
4 たしかに、下線部②の手続の違法は、強制処分にあたる行為を令状なしに行っているから、重大とも思える。しかし、本件覚せい剤を差し押さえた手続そのものではないから、重大な違法ではない。したがって、本件覚せい剤の証拠能力は認められる。
以上
感想等
設問1の2:所持品検査を検討してから強制処分というのは、順番が逆のような気がします。あと行政警察活動と捜査活動をどうやって区別したらいいかもよくわかりませんでした。
逮捕に伴う捜索は、どうせ否定するんだからさらっと書くつもりでしたが無駄に長くなってしまいました。
設問2:よく理解していないのに、おまけに時間もないのに違法性の承継に手を出してしまいました。
設問1の2(2)で「令状主義の趣旨を没却」とかいっておきながら設問2では「重大な違法ではない」というのは矛盾していると思います。