設問1は行手法32条1項の問題としてしまいましたが、隣にある行手法33条の問題だったかもしれません。もっとも、行手法3条3項により地方公共団体であるA県の行政指導には行手法は適用されないんじゃないか、という話もあるようですので適用条文の違いはあまり問題にならないと期待します。

 

設問2の原告適格の判断枠組みは、処分性の定義とともにこれだけは間違えないで書こうと何回も練習しました。ただ、これを書いたところで残り15分となってしまい、肝心のあてはめをしっかり書けませんでした。時間配分のミスでした。他の受験生に書き負けていると思います。

E~Fは回避できたものの、A~Bは無理といったところでしょうか。

 

第1 設問1
1 Aとしては、本件申請に対する許可の留保は、Aの「任意の協力」(行手法32条1項)がないため違法であると主張することが考えられる。
2 最初の行政指導、すなわち「本件申請に対する許可をいったん留保した上で、Aに対し、住民と十分に協議し、紛争を円満に解決するように求める行政指導」は、「周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること」が法15条の2の許可基準に含まれていることから、Bの「所掌事務の範囲」(行手法32条1項)といえる。また、Aの承諾もある。したがって、適法である。
3 もっとも、行政指導を受けた者が、指導に従わない意思を明確に表明した以降は、指導を受けた者の不利益と、失われる公益を考量して、特段の事情がない限り、原則として行政指導は違法となると解する。
4 本件では、Aは、本件提案を撤回し、Bに対し、最初の行政指導にはこれ以上応じられない旨の内容証明郵便を送付しており、この時点でAが行政指導に従わない意思を明確に表明したとえいる。そうすると、Aとしては、これ以降の行政指導は違法となると主張することが考えられる。これに対し、甲県としては、特段の事情があると反論することが考えられる。どちらの主張が認められるか。
 Aの不利益は、建設資材の価格が上昇し、Aの経営状況を圧迫するおそれである。これに対し、失われる公益として考えられるのは、地下水の汚染や有害物質の飛散により住民の健康が脅かされる懸念や、ぶどうの栽培にも影響が及ぶ懸念である。後者は未だ懸念にすぎないから、Aの不利益が上回り、行政指導が違法となるとも思える。
 しかし、Aは、説明会に際し、住民のように装ったA社社員を参加させ、自己に有利な方向の質問や意見を述べさせたりしている。また、あえて手狭な説明会場を準備し、反対派住民が十分に参加できないような形で説明会を運営している。これらの事情は、Aが住民と十分に協議したように装う点で信義則(民法1条2項)にも反するような特別の事情であるといえる。
5 したがって、特別の事情があるため、例外的に行政指導は適法となる。
第2 設問2
1 原告適格が認められる「法律上の利益を有する者」(行訴法9条1項)とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。法律上保護された利益かどうかは、当該処分の根拠法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消するだけでなく、それが帰属する個々人の個別的利益をも保護する趣旨を含むかどうかで判断する。
2 これを本件についてみる。
(1)本件許可により侵害されるおそれがある利益は、汚染のない地下水や有害物質が飛来しないという住民の生活環境である。
(2)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という)1条によると、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることが目的とされているから、法は生活環境を一般的公益として保護する趣旨であるといえる。
(3)これに加え、産業廃棄物施設の設置に当たっては、都道府県知事の許可が必要であり(法15条1項)、申請書には周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査結果を記載した書類の添付が求められている(法15条3項)。この書類には、水質又は地下水にかかる事項のうち、周辺地域の生活環境に影響を及ぼすおそれがあるものの調査が含まれる(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則11条の2第1号)。
 そして、申請があった場合には、申請書等が縦覧に供され(法15条4項)、利害関係人は意見書を提出できるとされている(法15条6項)ことからすると、法は、利害関係人の生活環境を具体的利益として保護する趣旨であるといえる。
(4)では、C1及びC2は利害関係人といえるか。
ア C1は、本件予定地から下流側に約2キロメートル離れた場所に居住している。たしかに、C1は地下水を飲用していないが、地下水を利用して新種の高級ぶどうを栽培しており、有害物質がC1の居住地に到達するおそれがあるから、利害関係人といえる。
イ C2は、本件予定地から上流側に約500メートル離れた場所に居住している。たしかに、C2は地下水を飲用しているが、有害物質はC2の居住地には到達するおそれがないから、利害関係人とはいえない。
3 以上より、C1に原告適格は認められるが、C2には原告適格は認められない。

以上

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