7月いっぱいかかって再現答案を作りました。

せっかく作ったので感想とともにアップしてみようと思います。

 

例年行政法から解いていたのですが、去年憲法で失敗したこともあり、今年はまず憲法をしっかり書きたくて順番を変えました。

 

問題文に「財産権の侵害である」と書いてあったので人権選択は迷いませんでした。

Xの廃棄が命じられた点と、廃棄がなされない点を分けて書きましたが、一体として論じるやり方もあったかもしれません。

法令違憲、適用違憲に分けて書くという考えは全く浮かびませんでした。忘れていたといった方がいいのかもしれません。結果、どちらで書いているのかわからないごちゃ混ぜの答案になってしまいました。

 

まあ、一定の判断枠組みを示して、問題文の事実を一生懸命当てはめたので、E~Fは回避できたのではないかと思います。

 


第1 原告の主張
1 Xの廃棄が命じられた点について
(1)甲としては、本件条例によってXの廃棄が命じられたことが財産権を侵害し、29条1項に違反すると主張することが考えられる。
(2)財産権(29条1項)は、私有財産制度という制度的保障だけでなく、個人の財産権も保障している。甲が生産した農産物Xは、取引の対象となるため「財産権」の保障範囲に含まれる。そして、A県知事が本県条例によりXの廃棄を命じたことにより、甲が農産物Xを出荷することができなくなり、甲の財産権が制約されている。
(3)29条1項の合憲性判定基準は、規制目的、制約される権利の性質、規制態様を考慮して決定すべきである。規制目的は、A県産のXのブランド価値を維持し、Xの生産者を保護するという経済目的である。また、本件において制約される甲の財産権は、甲にとっては生活の糧を得るための重要な権利である。そして、規制態様は、補償なしに廃棄を命じるという強い制約である。そこで、目的が正当で、②手段が必要性及び合理性を有するときに限り合憲となると解する。
(4)本件についてこれをみる。
ア 本件条例の目的は、A県産のXのブランド価値を維持し、Xの生産者を保護することである。Xは特別に豊作になるなどの事情があると価格が下落し、そのブランド価値が下がる懸念があることから、目的は正当である。
イ 甲が生産するXは、20XX年も平年並みの生産量だったことから、3分の1もの量を廃棄する必要性がない。また、甲は独自の顧客をもっていたことから、例年同様の価格で販売でき、廃棄を命じられることに合理性がない。
(5)したがって、29条1項に違反する。
2 補償がされない点について
(1)甲としては、廃棄を強制されたにも関わらず補償がないことが29条3項に違反すると主張することが考えられる。
(2)本件条例には損失補償に関する定めがないが、このような場合でも、直接29条3項を根拠として損失補償を求めうる。損失補償が必要かどうかは、①対象が一般的か特定の者に限られるかどうかという形式的基準と、②損失の内容が財産権に内在する制約として受忍限度の範囲内か、という実質的基準により判断する。
(3)本件では、対象はすべてのXの生産者であり、甲という特定の者だけに課された制約ではない。しかし、3分の1もの量の廃棄を命じられることは、生産者にとっては生活の糧を失いかねないほど大きな制約であり、受忍限度を超えている。
(4)したがって、29条3項に違反する。
第2 想定される反論及び私見
1 Xの廃棄が命じられた点について
(1)合憲性判定基準について、本件条例の目的は社会経済政策上の積極目的だから、明白性の基準、すなわち立法府の判断が著しく不合理であることが明白である場合に限り違憲となる、との基準を用いるべきであるとの反論が考えられる。
 この反論について、たしかに、農産物の価格は気象条件、市場の状況に左右されることから専門的・技術的判断が必要になり、立法府の判断を尊重するべきとも思える。しかし、生産者保護を目的とするならば、個々の生産者の事情は異なるから、立法事実を考慮すべきであり、甲の主張する基準を採用すべきと考える。
(2)必要性について、一定割合を一律に廃棄することはやむを得ず、また、ブランド価値維持のため必要であるとの反論が考えられる。
 この反論について、たしかに、Xの特性から、事前の生産調整、備蓄、加工等は困難であるから、一律廃棄が必要であるとも思える。しかし、廃棄を命ずるだけで十分であり、それを超えて廃棄を代執行する必要性はない。
 また、たしかに、農産物Xは限られた時期にのみ産出される特産品であるから、流通量が多くなると、価格が低下し、Xのブランド価値が失われるとも思える。しかし、ブランド価値は価格だけに直結するのではなく、品質にもよるのであるから、流通量だけを調節する必要性がない。
(3)合理性について、最大許容生産量を超えた分だけ廃棄を命ずるものであり合理的であると反論することが考えられる。
 この反論について、たしかに、20XX年の生産量は例年の1.5倍であったから、3分の1を廃棄すれば、例年と同じ生産量となるから、合理的であるとも思える。しかし、甲の生産量は平年並みであり、にもかかわらず3分の1もの量を廃棄させられる合理性がない。
2 補償がされない点について
 補償がされない点について、価格が著しく下落したときに出荷を制限することはやむを得ないものであり、受忍限度内であるとの反論が考えられる。
 しかし、甲は、Xの独自の栽培法を開発し、高品質のXを生産しており、独自の顧客を持つなど、努力している生産者である。生産者の利益、農業振興を考えるならば、このような生産者こそ保護すべきである。甲は、本件条例が制定される前から努力をしており、廃棄命令がなければ例年通りの量を出荷でき、利益を得られたのに、そのような従前からの生産者としての地位を一方的に奪われるのは受忍限度を超えていると考える。

 

以上

AD