第1 甲の罪責
1 Bに土地を売却した行為について横領罪が成立しないか
(1) 占有:事実上の支配だけでなく法律上の支配も含む。登記は甲の元にあるから占有あり
(2) 土地をAに売却したから「他人の物」
(3) 横領=不法領得の発現たる行為。売買契約だけでは、甲が翻意してAに登記を移す可能性もあるから完全に不法領得の意思が発現していない。登記をもって既遂とすべき。よって不成立
2 Cのために抵当権を設定した行為
(1) 横領か背任か。両者を法条競合ととらえ、行為態様で区別。権限逸脱:横領、権限濫用:背任。本件では移転登記手続を行う権限しかないのに抵当権を設定しており横領。
3 乙に土地を売却した行為
移転登記も完了しているから横領罪成立
4 罪数
抵当権設定は200万円分、乙への売却は800万だから元々の価値(Aへの売値1000万円)を分かち合うもの。したがって各犯罪は独立の法益について成立するものとして併合罪
第2 乙の罪責
共同正犯か、従犯か。乙にも「土地の完全な所有権を得る」という利益が帰属しているから正犯性あり
共同実行の意思:乙はこれまでの事情を知っているから肯定
共同実行の事実:所有権移転登記手続を行ったこと
したがって横領罪の共同正犯
横領罪の問題を解くにあたり、H24司法試験の出題趣旨と採点実感が参考になります。
(出題趣旨)
・横領罪の保護法益を「物(個別財産)の所有権及び委託信任関係」,背任罪の保護法益を「全体財産及び委託信任関係」と捉え,両罪の保護法益に重なり合いを認め,法益侵害が一つであることから,両罪の関係は法条競合であり,重い横領罪が成立すると考える見解からは,まず業務上横領罪の成否を検討することになる。
・横領罪の成否を検討した場合には,同罪の既遂時期についても言及すべきである。
(採点実感で挙げられていた問題点)
・抵当権設定行為について,横領と背任の区別を全く論じないまま,業務上横領罪又は背任罪の成否を論じている答案(特に背任罪の成否を論じている答案)
・業務上横領罪における「占有」の解釈について,「事実的支配」のみ論じ,「濫用のおそれのある支配力」の観点が論じられていない
・業務上横領罪の成否を論じるに当たり,不動産の横領の既遂時期について何ら触れられていない答案が大多数であった
明日から2週間ほど出張の旅に出ます。
1 Bに土地を売却した行為について横領罪が成立しないか
(1) 占有:事実上の支配だけでなく法律上の支配も含む。登記は甲の元にあるから占有あり
(2) 土地をAに売却したから「他人の物」
(3) 横領=不法領得の発現たる行為。売買契約だけでは、甲が翻意してAに登記を移す可能性もあるから完全に不法領得の意思が発現していない。登記をもって既遂とすべき。よって不成立
2 Cのために抵当権を設定した行為
(1) 横領か背任か。両者を法条競合ととらえ、行為態様で区別。権限逸脱:横領、権限濫用:背任。本件では移転登記手続を行う権限しかないのに抵当権を設定しており横領。
3 乙に土地を売却した行為
移転登記も完了しているから横領罪成立
4 罪数
抵当権設定は200万円分、乙への売却は800万だから元々の価値(Aへの売値1000万円)を分かち合うもの。したがって各犯罪は独立の法益について成立するものとして併合罪
第2 乙の罪責
共同正犯か、従犯か。乙にも「土地の完全な所有権を得る」という利益が帰属しているから正犯性あり
共同実行の意思:乙はこれまでの事情を知っているから肯定
共同実行の事実:所有権移転登記手続を行ったこと
したがって横領罪の共同正犯
横領罪の問題を解くにあたり、H24司法試験の出題趣旨と採点実感が参考になります。
(出題趣旨)
・横領罪の保護法益を「物(個別財産)の所有権及び委託信任関係」,背任罪の保護法益を「全体財産及び委託信任関係」と捉え,両罪の保護法益に重なり合いを認め,法益侵害が一つであることから,両罪の関係は法条競合であり,重い横領罪が成立すると考える見解からは,まず業務上横領罪の成否を検討することになる。
・横領罪の成否を検討した場合には,同罪の既遂時期についても言及すべきである。
(採点実感で挙げられていた問題点)
・抵当権設定行為について,横領と背任の区別を全く論じないまま,業務上横領罪又は背任罪の成否を論じている答案(特に背任罪の成否を論じている答案)
・業務上横領罪における「占有」の解釈について,「事実的支配」のみ論じ,「濫用のおそれのある支配力」の観点が論じられていない
・業務上横領罪の成否を論じるに当たり,不動産の横領の既遂時期について何ら触れられていない答案が大多数であった
明日から2週間ほど出張の旅に出ます。