この記事はアニメ ゲゲゲの鬼太郎 6期 第7話「幽霊電車」のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください
まったく別のベクトルで第6話に続いて、神回連発でした
ここまで「これが現実であればなあ」なんて思ったアニメの回は久しぶりです
作り話は作り話、現実は架空より恐ろしい
鬼太郎「僕は人間じゃありません」
あくまで妖怪の側に立ち、人間を軽蔑もすれば、守護もする
そんな鬼太郎が、この恐ろしい顔で、今回最も強く感じた人間への感情は実は「恐怖」だったんじゃないかと思います
自分が今回のどの人間にもならないように祈りながら
第7話 「幽霊電車」の感想行きます
冒頭
いじめっ子らしき女子高生が酔っ払いのような男が電車にはねられるのを目撃する、2時間もののサスペンスドラマのような始まり方
自分にぶつかってきた男をすぐに撮影してネットに拡散しようとしたのがいかにも現代です
ネットが話に深く絡むのかな?と思いましたが、今回の話はネットがなくても成り立ちました
むしろ、ネットに救いを求める人がいなかったのかとさえ思ってしまいます
昔近くに住んでいたんですが、ドラマ「聖者の行進」の元になった実話「水戸事件」とか、ネットで状況が拡散されればあの社長はもっと早く社会的に抹殺されてたでしょう
それができない相手を対象にしてたのがあの事件の残酷さですが…
第7話 「幽霊電車」
非常に短く、かつ内容の想像がつくタイトルです
赤ちょうちんで部下に妖怪や幽霊の存在を信じる人を馬鹿にしている社長らしき男
何の脈絡もありませんが、最後まで見ると部下がそういう話をしたんだと推測できます
退職していく部下の名前を覚えてないとか、他人事とは思えない…
もっとも私が酷い目に遭ったのは平が社長と直接話せるような規模の会社ではなかったですけどね
むしろ社長は現場の状況を全く知らないような会社でした
鬼太郎「お言葉ですけどね、目に見えないものでも、いるものはいますよ」
下駄の音を鳴らしながら社長のくだにツッコミを入れる鬼太郎
ねずみ男「おいやめようぜ鬼太郎、こんな奴に絡んだって時間の無駄だぜ」
ねずみ男って、たまにガチでいいこと言うんですよね
社長「人間はな、自分で稼いで自分で食うんだよ! それができないてめえらみたいな落伍者は生きてる意味がねえんだ!」
その考え方を100%否定はしませんが…
他人を働けなくしておいて、何の責任も取らないこの人みたいな人間がいるわけでして
そんな人間がどう責任を取るというのか
果たしてこの社長は責任を取ったのか、取っていないのか
それも今回の話の後味の悪さです
鬼太郎「『因果応報』という言葉を知っているか? 自分がやったことはいずれ必ず自分に返る」
ゴミの中に蹴り飛ばされつつ、どんより濁った眼で諭す鬼太郎
「私今まで何も悪いことなんかしたことありません」
なんて人はある程度の年齢ならいないでしょうが、何も悪いことを「してないことにする」人はたくさんいます
さて、自分は一切悪くないと思い込んでいるこの社長の行く先やいかに
0:42 多魔霊園行き
終電を逃した二人が見つけた「臨時列車」
なにげに「多摩」じゃなくて「多魔」になってます
発車時刻も「霊」と「死に」とかけてたり細かいです
こういう小ネタ大好きなんですよね
ちなみに、「みどりの窓口」が「きみどりの窓口」になってました
社長「なあおい、終電ってのはこんなに静かなものだったか?」
部下「きっと、みんな疲れているんですよ」
私も、何度となく飛び乗ったことがありますが、確かに終電ってのはもっと活気のあるものです
どうでもいいですが、「終電ちゃん」という漫画を思い出しました
擬人化というか美少女化した終電が駆け込む人たちを怒鳴りつけたり厳しくも見守りったりする人情ものです
全てを知ったうえでの部下の台詞一つ一つが、再視聴すると伏線になってると分かって面白いです、いや、面白がっちゃいけないんですけど
鬼太郎「しゅっぱつしんこーぅ」
ここの鬼太郎の「出発進行」の言い方がやたら笑えました
別に鬼太郎が動かしてるわけでも無いようなのですが
焼き場のような扉
生気のない乗客
通り過ぎた後に卒塔婆で組まれドクロがぶら下がったものに変わる踏切、そして人魂
実に良いホラー描写です
私、こういう怖いのは大丈夫なんですよね
血がドバドバ出たり、痛そうなグロ描写がダメなだけで
「呪怨」とか「リング」とか、実に楽しく見れました
社長「ま、ノルマは絶対だ。泊まり込みだろうが徹夜だろうが片づけるのは当たり前だからな」
一体何の会社なんでしょうね?
ITとかじゃなさそうです
自分が脳溢血になった会社の惨状を書きたい気持ちは強いですが、書きだすと止まらなくなりそうなのでやめておきます
でもああいう経験がある人の方が、むしろ楽しく観れる回だったかと
窓に張り付く手型
そして聞こえてくるお経
素敵に恐怖を煽ってきます
かと思ったら久しぶりに猫娘登場
5話以来でしたっけ?
猫娘「すみません」
でも可愛いお顔は見せてくれません
簡単に日曜朝の爽やかな清涼剤にはなってくれないです
なにせ、妖怪ですから
着メロがお経とか実際に電車で鳴らしたら楽しいことになりそう
「ラジオ体操第一を着メロにしてたらめっちゃ周りから受けた」というアホな知り合いが昔いました
鬼太郎「車内検札でーす」
「ご協力をお願いしまーす(重低音)」
なんで今回の鬼太郎は口が3になってる率が高いんですか
特急以外だとまず最近はない車内検札
田舎だと抜き打ちでやられることもあります
部下「週に一度も帰らないのに、定期じゃもったいないですから」
と言いつつ出された2枚の切符
古めかしいはさみが入れられます
豆知識ですが、日本で自動改札が急速に普及したのは首都の東京ではなく大阪なんだとか
イラチな大阪の人に対しての方が需要があったそうですね
社長「六文…?」
妖怪関連のうんちくを知らないとネタが分からない切符の値段
奪衣婆に渡す三途の川の渡し賃、だそうです
いわゆる「冥銭」ですね
アケローン河でカロンに渡す額は1オボルスとのこと。六文と同じく、価値は知りません
三途の川とアケローン川、東洋西洋で同じような死後の世界のイメージがあるのって、不思議だと思いません?
あの世には、本当に川があるのかもしれませんね
床から生えた手に足を掴まれ、奪衣婆に襲われる社長
キャストに居ましたが、ここで出てきたのが奪衣婆ですね
パート区切り
「つんデレ」言われて怒る猫娘もさることながら、縛られてるねずみ男が可愛すぎます
意識を取り戻すも、足に跡が残っており、夢や気のせいではないと思い知る社長
こうやってじわじわと恐怖を煽っていくのが最高です
ここで精神的に追い詰められて、入院後退院するも入水自殺した国重という社員の話が出ます
部下「体は治っても、心は治らなかったんですね」
そこまで追い詰められて、退職という選択ができなかったのは家庭があったからでしょうか?
それともこの部下の言うように心が病んでしまって正常な判断すらできなくなったんでしょうか?
社長「馬鹿な奴だ、能力がないから悩んだ挙句死んだりするんだ」
恐ろしい
人間って何て恐ろしい生き物なんでしょうね
部下「そう……ですか」
最初から怪しかったんですが、そろそろこの部下の状況が明かされていきます
次々に出てくる、社長に「殺された」社員たち
直接的ではなくても、人は死ぬんです
尊厳を奪い続けて、「殺した」んです
社長「だいたい、幽霊なんていねえしな」
最初からそう言ってましたね
見返せばこそわかる楽しさです
もっとも、この話を見て「楽しい」と感じている私自身も部下さんの言うように、心が病気なのかもしれません
社長「お前みたいなのを指示待ち人間って言うんだよ! 頭使えよ!」
社長「前の会社での評判は聞いてるぞ、使えないからやめさせられたんだろうが! ここ以外行くところはないぞ!」
この会社、ようするに応募してきた人間を誰でも採用して潰れるまで働かせてまた採用する、を繰り返してんじゃあ…
恐ろしいことに、多少の誇張はあれど、こういう会社は現実にあるんですよね
そして一番たちが悪いことは…
それは、この記事の最後に書きましょう
社長「自分がしたことは必ず返ってくるぞ!」
ほんの一瞬、鏡に自分を映す余裕もなかったんでしょうか
ここまで人を追い詰める、周りにも責任があったりするんですよね
下請け孫請け会社だとよくあることです
部下「わかり、ました…」
こいつも被害者でした
思えば最初から、なんで一緒に酒なんか呑んでるんだって思ってたんですよね
追い詰めた末の惨劇
社長「そうだ、あれだって、俺のせいじゃない…」
仕事とはそういうもの、という一体若い頃どんな教育を受けたのかが気になるような方針の末の自己正当化
あ、このメガネ…
大体予想通りでした
部下「ああ、やっと思い出してくれましたか」
予想がついていたとはいえ、このシーンは怖かったです
乗客は皆、この社長の犠牲者
場にそぐわない感想だと自覚がありながら書きます
こんなに殺しておいて、労基とか厚生労働省とか何もしなかったんですか?
大きめの会社だと不祥事は揉み消しますけど、社員30人程度の零細なんて、そんなブラックなやり方で何人も殺してたら、必ず遺族が裁判起こして問題が発覚しますよ
あと、そういう黒さがネットに晒し上げられまくって応募者がいなくなります。それこそ「水戸事件」みたいな古い話なんでしょうか?
鬼太郎「どうしました?」
社長「ば、化け物が」
鬼太郎「化け物ですか、化け物って言うのは」
許しを請うそぶりすら見せず、ひたすら助かろうとする社長
鬼太郎「こういう者たちのことですか?」
しかしそこに鬼太郎が追い打ち
火の車、のっぺらぼう、唐傘お化け、くらいでしょうか分かったのは
実に痛快な展開の中、罪深き社長はなおも足掻きます
社長「降りるんだ、こんな電車無理矢理にでも降りてやる」
これがまさしく、飛び降り自殺した人たちの気持ちだったんでしょうね
なんでもいいから逃げたい、離れたい…
分かる気がします
I can fly!
No,you can't fly! You can't run away....
なぜならば、もう、終わっているから…
鬼太郎「これは地獄逝きの電車です」
そして彼がもう死んでいることを告げる鬼太郎
社長「幽霊なんかじゃ… …!」
実に良い気付かせ方でした
冒頭のシーンは珍しく本編より過去の場面でした
お前はすでに死んでいる
死んだことを否定し続け、文字通り、「往生際が悪く」この世に留まっていた幽霊、それが彼の正体でした
ずっと恨み重なる相手が地獄に堕ちるのをあの世で楽しみに待っていたのになかなか来ないものだから痺れを切らして迎えに来てしまったと言います
鬼太郎「『早くあの世に来い、地獄に堕ちろ』と」
猫娘「骨壺~、ほねつぼ~、次の停車駅は終点、地獄~」
妙に可愛い声での死出の案内
猫娘はいわゆる「化け猫」なので「死」とは縁近い妖怪です
「東方プロジェクト」が好きな人なら火焔猫燐を思い浮かべるのが一番手っ取り早いでしょう
もっともニチアサキッズタイムにアニメを観てるような歳の子が東方に詳しかったらそれはそれでなんか嫌ですが
最期の瞬間まで自分の行いを悔い改めないどころか、鬼太郎に命乞いをすげなく扱われ、「それでも人間か!」と叫ぶ社長に対し、
鬼太郎「僕は人間じゃありません」
一片の慈悲もない目で言い放つ鬼太郎
「鬼」太郎とはよく言ったものです
3期の正義のヒーローっぽい鬼太郎より、6期のダークな鬼太郎が好きなのは歳を取ったせいでしょうか
幼い頃に戻ってこの「鬼太郎」を観たら自分がどう思うのか、それを知ることができないのが残念です
事の顛末
女子高生「じゃあ、一週間前にあたしが見たのって」
鬼太郎「ええ。多くの恨みに囚われて、彼は命を落としたのです。夕べようやくあの世に旅立ちました」
この子が妖怪ポストに手紙を入れたとも思えないので、「なんかやばい写真撮っちゃった」ってネットに拡散したのを猫娘が見つけて鬼太郎が解決に動いたんですかね?
鬼太郎「あなたがその手に突き落とされたりする心配はありません、写真も消して問題ありませんよ」
自分には害がないと安心して不吉な写真を消去する女子高生
ただし鬼太郎は続けます
鬼太郎「あなたにそうされる心当たりがなければ」
そうなんですよね
はじめはこの子が今回死ぬのかと思ってました
鬼太郎「これは『人間』が『人間』を虐め殺し、その恨みがさらに人間を殺した、それだけの話なんです」
今まで行ってきた陰湿な虐めを思い返し、恐怖する名もなき女子高生
さて、この子がこの後自分の行動を悔いて社長と同じ目に遭わないように改めたか、それとも将来的に同じ運命を辿ったのか
それは語られざる物語
鬼太郎「妖怪なんかより、よっぽど恐ろしい」
6期鬼太郎の、真骨頂ですね
この世で最も恐ろしいものは…
という、最高の後味の悪さを残す神回でした
目玉おやじの出番が少なかったことだけが残念です
この回の最も怖いところは、社長は最期の一瞬まで自分のしたことを「反省」してないんですよね
そして現実世界には、今この瞬間にも「自分は悪くない」と思いこんだまま罰を受けずに人を殺し続けている人間がいる
妖怪なんかより、よっぽど恐ろしい人間が善人の顔して生きてるんです、全てを他人のせいにして
私も、時々は自分の姿を鏡に映して生きていきたいものです
さて、次回はようやくまなが再登場です
予告でも7話本編とは打って変わって「人間」のまなを心から心配する焦った鬼太郎の声が聞けました
第8話 「驚異! 鏡じじいの計略」
色んな意味で重かった6話、7話と違い、友人であるまなのために、仲間たちとともに戦う鬼太郎が観れそうです
Καλό βράδυ !





















































