9名は意外に緊張している様子も無く、毎日こなしている事のようにデッサンとダイヤフラムを仕上げていった。与えられた時間の中で、一筆一筆に集中して線を描いている様子はどこか安心感を感じることができた。当日まで数えきれないほどのデッサン/ダイヤグラムを描いてきたのだろうか。

麻袋をかぶったモデルがラインナップ。

側でみていた自分は、さすがにこれからみな緊張するだろうと予想していた。
頭の中ではもう何度もカットをしたのではないだろうか。
あとはヘアスタイルとしての形をつくるだけである。

カットが始まる。

東北地区代表 鈴木智也

北海道地区代表 石垣ルミ子

北陸地区代表 小野友子

近畿地区代表 竹中文代
今回のモデル9名はほとんどがミディアム以上の長さ。中にはロングのモデルもいる。
始まって5分、10分と時間は流れていく。

四国地区代表 石田雄仁

九州地区代表 松下賢治
次第にモデルのヘアスタイルも変わっていく。ロングヘアだったモデルはもうその面影すら残っていない。
ファイナリスト達には、自分が当初予想していた緊張は全く感じられなかった。

関東地区代表 畠山あゆみ

東海地区代表 杉本一彦

中国地区代表 稲田香緒里
9名全員がいきいきと、その与えられた時間の中で楽しんでいる表情が手に取るように見えた。この時観客席から見ていた方もそれを感じ、そして自分も立ちたいと思ったのではないだろうか。自分はそう思った。
カット終了。

モデルラインナップ
ここでまだ終わりではない。
プレゼンへはいる。
今回植村が合宿でも力を入れた部分だ。
人前で話すことの緊張感は誰しも体験したことがあるはずである。これもまた選考のポイントとなるのでどこまで自分の思いを伝えられるかが鍵になる。

それぞれが審査員であるshinbiyo編集長 星さん、HAIRMODE 大阪編集部編集長 中尾さんから出される鋭い質問へ答える。もし自分だったら、という思いでファイナリストの声に耳を傾ける。
この時間はある意味、用意されいないいま発される生の声である。


「今回の自分には何点つけますか?」この質問にはさすがにファイナリストもたじろいでいる様子だった。控えめに点ける人、やりきったことの自信に100点を点ける人、様々だがみんなの表情にはやりおえた満足感があった。
去年とは違う点として会場には50名の審査員がいるということだ。
この50名は地区予選で代表者9名とともに戦った方達だ。彼らも今回投票する為の1票を持ち、このステラボールに集結したのだ。

いよいよ発表である。もうおなじみDA-DAから発表された。
見事グランプリに選ばれたのは
関東地区代表 畠山あゆみさん
今年唯一予選を見に行けたのが関東地区予選だった。そこで彼女の言葉は今でも耳にの残っている。
「悔しくて一人で直島に行きました。」ただただ悔しかったのだろう。その想いだけが強く伝わってきた。

ステージ側でみていた自分は彼女のコメントがまた印象的だった。
「本当に美容が好きだなって、美容師になって本当によかったなって感じます。」
目頭が熱くなったのは自分だけではないはずだ。
戦いを終えた選手が戻ってくる。力を全て使い尽くした彼らはお互いを讃え合い、
全員が口にした言葉は、「このステージに立てて本当に良かった」という一言だった。
来年はどんなスターが誕生するのか、そしてどんな感動が生まれるのか、もういまからD1は始まっている。