『ヘッジファンドの重要性は、既存の金融システムに非常に高い流動性を創造する点である。』
前FRB議長 アラン・グリーンスパン
ディノザウルスの最も重要な武器の一つとしてデリバティブがある。
世界のデリバティブの取引残高は、21京円≪1京(ケイ)=1兆の1万倍≫をこえている。なんと、世界GDPの約6倍の規模だ!
ヘッジファンドは今や、絵画や美術品から賃金業、不動産まで何でもする。しかし、あくまでも戦場は金融マーケットだ。
金融取引市場の本質は、「不確実性」だ。
明日のことは誰にも分からない。それが金融ビジネスの本質であり、一般投資家の最も知りたい所だと思う。
しかし、明日のことを予想し続けてどういう結果が出るだろうか?
もちろん、投資をする上で、根拠に基づいたある程度の推測は必要だろうが、その予測に沿って売買することは、あまりにも危険だ。
私達の武器の一つであるデリバティブは、その不確実な事柄に対処するための重要な手段だ。
ここで、ハッキリさせておきたいことは、
『予測や予知が出来ないことと、将来を見積もりすることはまったく違う』ということだ。
この将来の見積もりによって、徹底的なリスク管理を行っているのだ。
ここでいうリスク管理とは、「いくらになったら損切りをしよう」だとか「いくらで利食いして逃げよう」など、そんな単純な事ではないので勘違いしないように。
ではデリバティブな中でも最もポピュラーと言えるオプション取引を例にして少しだけ説明する。
オプション取引を一言で言うと、『原資産(株・通貨・金、原油、穀物・債権など)をあらかじめ決められた価格で決められた数量を、あらかじめ決められた期限までに買うまたは売る権利』のことだ。
詳しいオプション取引の仕組みについては、各々学んでもらいたいところだが、ここで一つ比較をする。
株式取引の場合、注文の種類は、買うか売るかの2通りだ。当然、今後値上がりが予測されれば買い、
値下がりが予測されれば売る。別の角度から見れば、上がるか、下がるかの2通りしか対応できる注文方法しかないことになる。
一方、オプション取引の場合は、こういう注文方法もある。例えば、価格が大きく変動したら儲け(ストラドル)、
価格が小さく変動したら儲け(ショートストラングル)などの売買手法がある。あくまでも代表的な2つを紹介しただけだが、もともとコールのロングとショート、プットのロングとショートという風に基本の注文方法だけでも4通りあることから、どれだけの組み合わせがあるか分かるだろう。さらに現物株式を保有しながら同時にオプション取引をすることにより、より多くの組み合わせを作ることが出来る。もちろん株式に限らず、通貨、商品、債権でも同じことだ。どれだけ、売買の方法が広がり、有利かということが理解できると思う。
まずは、最低限の武器として、身につける必要は大いにあるだろう。
常に、様々なパターン、シナリオを想定し、それに対するリスク管理をすることが勝つための第一条件だ。