排出量取引の考え方を使って、企業・団体・NGO・市民の自主的な排出削減努力を促す取組である「カーボン・オフセット」について、昨年末から年度明けにかけて、様々な取組がネット上に公表されていますので御紹介します。

まず、カーボン・オフセットの定義について。
2008年2月、環境省は 「我が国におけるカーボン・オフセットのあり方について(指針)」 を公表しました。この指針には、 カーボン・オフセットの定義 が書いてあります。
 カーボン・オフセットとは、市民、企業、NPO/NGO、自治体、政府等の社会の構成員が、自らの温室効果ガスの排出量を認識し、主体的にこれを削減する努力を行うとともに、削減が困難な部分の排出量について、他の場所で実現した温室効果ガスの排出削減・吸収量等(以下「クレジット」という)を購入すること又は他の場所で排出削減・吸収を実現するプロジェクトや活動を実施すること等により、その排出量の全部又は一部を埋め合わせることをいう。
要するに、カーボン・オフセットの中では、 排出量を認識して自分で削減する努力がまずあって、 クレジットを買ってくるのは最終手段だということです。

関連して、
分かりやすい 「カーボン・オフセットに関するFAQ-Ver. 1.0」 も公表されています。

カーボン・オフセットがきちんと削減努力につながっているかどうかを評価するガイドラインとして、環境省は、2008年10月に、 「カーボン・オフセットの対象活動から生じるGHG排出量の算定方法ガイドライン(Ver. 1.0)」 や 「カーボン・オフセットの取組に係る信頼性構築のための情報提供ガイドライン(Ver. 1.0)」 を公表しています。
 
次に、

カーボン・オフセットの推進策について。
2008年8月、環境省は、 「平成20年度カーボン・オフセットモデル事業計画設計調査の採択について(お知らせ)」 を発表し、上記の指針に照らし、適切性について評価した37件の事業をモデル事業として採択しました。

2009年3月18日には、 「カーボン・オフセットモデル事業報告会」 が開かれ、9件の事業について事業者から発表されました。

そして、カーボン・オフセット活動の 透明性を高め、適正な活動を評価するための制度構築 として、環境省は カーボン・オフセットに係る透明性の確保、第三者認定及びラベリングに関するワークショップ で検討を行い、2009年3月18日に、 「カーボン・オフセットの取組に対する第三者認証機関による認証基準(Ver. 1.0)」 を公表しました。

これを受けて、2009年4月8日に、認証制度を実施する 気候変動対策認証センター (環境省の外郭団体)が カーボン・オフセット認証制度に用いる認証ラベルのデザインを発表 しました。

気候変動対策認証センターは、オフセットに最終的に用いるクレジットを提供するオフセット・プロバイダーを評価する 「あんしんプロバイダー制度」 という取組もやっています。

最後に、

国内の削減努力や吸収努力のクレジット化について
私がクレジットを買ったときもお気づきのように、現在出回っているクレジットは大半が海外における削減努力を国連が認証したものです。

2008年11月、環境省は、この国連が認証する仕組みを元に、オフセットに使う排出削減クレジットとして国内の削減活動を「J-VER」というクレジットとして認め、オフセットに使える 「オフセット・クレジット(J-VER)制度」 を創設しました。簡単な パンフレット も公表されています。

2009年3月10日には、 「オフセット・クレジット(J-VER)制度における温室効果ガス排出削減量の認証第1号について(お知らせ)」 が発表され、森林バイオマスを活用したボイラーの燃料転換プロジェクトについて、高知県に対し、平成20年4月1日~9月30日の期間におけるプロジェクトの温室効果ガス排出削減量1,039t-CO2相当のJ-VERが発行されることになりました。

発行されるJ-VERは、2009年3月11日に気候変動対策認証センターによって運用が開始された オフセット・クレジット(J-VER)登録簿 において管理され、これにより登録簿に口座を所有する者同士のJ-VERの取引が可能となります。

J-VER登録簿のシステムと情報開示の方式は、京都メカニズムクレジットの国別登録簿システムに準じており、一般の方でも 「利用手引」 から操作マニュアルと口座開設申請様式を、 「公開口座情報一覧」 から加入法人の一覧を見ることもできます。

このほかにも、 「平成20年度オフセット・クレジット(J-VER)創出モデル事業の採択について(お知らせ)」 にあるような、9件のJ-VER創出モデル事業が採択されています。

また、オフセット・クレジット(J-VER)は、京都議定書の目標達成には使えない一方、国内の森林管理からクレジットを創出することができます。環境省は、認証基準について、2009年1月にパブコメを募集し、2009年3月に 「オフセット・クレジット(J-VER)制度における森林管理プロジェクトによる森林吸収クレジットの認証基準の公表について(お知らせ)」 を発表しました。

気候変動対策認証センターのプレスリリースによると、 5月8日(金)から森林管理プロジェクトの申請を受け付ける ようです。