秋になって、ビワハヤヒデが予定どおりオールカマーに出走し、ウイニングチケット以下に楽勝したという知らせは、ネーハイシーザー陣営を燃え立たせるに十分なものだった。この強敵を相手に、展開の紛れなどは期待できない。実力で、勝つ。
ネーハイシーザーは、ビワハヤヒデから3週間遅れて毎日王冠(Gll)から始動した。毎日王冠は、天皇賞・秋のステップレースとして知られる伝統の
Gllである。天皇賞・秋と同じ東京競馬場の、本番より200m短い1800mコースで戦われるレースであり、本番の予行演習としては最適の舞台である。
また、ネーハイシーザーにしてみれば、得意とする中距離に敵を迎えての戦いであり、ビワハヤヒデがいない相手に負けるわけにはいかなかった。
天皇賞・秋へとつながるこのレースは、最初の1ハロンこそ12秒9と落ち着いた流れになったものの、その後本来はスプリンターであるサクラバクシンオー
が、スプリント戦のペースのまま先頭に立った上、これに約1年半ぶりの実戦となったマイシンザンが絡んでいったことから、展開は大きく変わっていった。
レースは狂ったようなハイペースに吊り上がり、前半1000mの通過タイムが57秒5を計時したのである。
ネーハイシーザーは、この日最初のゆったりした流れの中で3番手につけていたことから、その後のハイペースにも、見事に巻き込まれてしまった。
「前は潰れる・・・!」
人々がそう思うのは、むしろ当然のことだった。