Mitsuhiro side .
『チアキが居てくれるから、
今俺は頑張れてる』
『チアキは…ホント、可愛いんだよ。
俺には勿体無いくらい。ああぁあ!
お前ら、チアキのことスキになるなよ!』
バカップルオーラ全開。
お前の惚気聞いてるこっちが
恥ずかしくなるようなセリフの
オンパレード。
それでも、誰よりも幸せになってほしいと
願っていた二人。
この二人なら、大丈夫。
そう思っていたのに、チアキちゃんは
突然アイツの前から姿を消した ______ ...
______
...
1月9日 PM 22:00
光「おじゃましまーす」
秀「邪魔するぞ」
俺は、末吉と共に西島の家に訪れる。
あの日から、毎年この日に。
『チアキが…居なくなった』
涙ながらに電話をくれた日も、
こんな雨の日だったなって
思いながら靴を脱ぐ。
「なんだよ。また今年も
俺の家かよ(笑)」
「まあ、まあ。今夜はパーッと
飲み明かそうぜ!」
秀太のそんなコトバに、西島は
フッと口元を緩めるだけ。
( ゴメンな、西島。アノ子じゃなくて、)
俺たちじゃ、アノ子の代わりなんて
なれないって分かってっけど ____ ...
PM 23:00
三人共ホロ酔い状態。
秀「あ、そういえば。俺彼女できたんよ」
酔った勢いのまま、突然報告した
秀太に西島が驚きながらも
オメデト、と小さく祝う。
光「西島も、彼女とどうなったんだよ」
確か、同じ会社だって言ってたよな?
…あの、背が小さくて目が黒目がちの
_______ チアキちゃんに
似てる子。
隆「ああ、別れたよ。ついこの間」
タイムリーすぎる出来事に、
末吉も俺も目を丸くした。
( でも、まあ…想定内 )
西島はアノ子がいなくなった
日から、抜け殻同然だった。
それでも、不器用ながらも前へと
進もうとしたんだろう。
色んな子と付き合ったりもしてた。
ただ、付き合っても一ヶ月も経たない
うちに別れてしまう。
そうなってしまう理由は…毎回同じだった。
秀「何でだよ。ケンカでもしたか?(笑)」
隆「ん…。無意識のうちにアイツのこと、
“ チアキ ” って、呼んでた。アイツに
怒られるまで気付かなくてさ、
自分でもビックリしたよ。
チアキはもう居ないのに」
( 相変わらず、バカみたいにチアキちゃん
一筋だ、な。羨ましいくらい )
ホントは苦しいくせに、無理して
笑う西島に俺達は何も言って
やれない。
「もう三年も経つのに、チアキが
消えないんだよ。感触も香りも、
……愛のコトバも」
光「西島…」
「チアキの誕生日だから、オレを
プレゼント…なんて、な」
気付けば、 一月十日へと日付が変わっていた。
西島の視線の先には卓上カレンダー。
一月十日についたシルシを指を
ソッとなぞる。
( 愛しくてしょうがないって
顔しちゃってさ… )
一月十日は、アノ子が西島の前から
消えた日で、
アノ子の誕生日でもある。
「チアキが笑ってたらいいな…」
ポツリと呟いた西島の頬に
一筋の涙が流れた。
アノ子のいないバースデー 。
親友でもあるオマエの幸せを誰よりも願ってんだ。
