OVA
機動戦士ガンダム    第08MS小隊


最終章






1996年に第1話がリリースされ、監督の交代による製作の難航から完結までに3年を要した







今回は1998年に発表された本シリーズの最終章にあたる3話を総括する記事である







第9話「最前線」



ヨーロッパ各地で発生したレジスタンスによる武装蜂起に端を発する反攻作戦は、8小隊が屯する東アジアに波及した





シロー・アマダ少尉に率いられた8小隊は、利敵行為の疑惑を晴らせないまま敵地の只中に空挺降下する







第10話「震える山:前編」



東アジアにまで拡張されていたジオン軍の鉱物資源採掘基地を包囲した地球連邦軍による攻撃が行われ、8小隊も戦闘に参加する





がさつな印象が強かったジオン軍東亜地域戦略兵団のユーリー・ケラーネ少将だが、命からがら転進して疲れ果てた若い兵たちを安全に宇宙へ帰すため奔走する





しかしモビルアーマー・アプサラスの威力を独占したいギニアス・サハリン技術少将は、味方の兵たち諸共基地を葬り去ろうと目論む








第11話「震える山:後編」



本編シーケンスの最終回に当たり、アイナと再会したシローが、アイナと共闘してギニアスの操縦するアプサラスと対決する








本シリーズは90年代の作品ということもあり、その時代特有の「軽さ」や「薄さ」を感じる演出が目立つ







最終回も近づいたこの段階にあってはシリーズ初期の頃に比べれば薄められてはいるのだが、やたらボリューミーな髪型のジオンの女性兵士がいるなど「悪い癖」の片鱗が見える







またガンダム作品ではこれまであからさまに感じられるような悪役を主人公が倒しにゆくなどという演出はほとんどなかった




シロッコや鉄仮面は例外







この時期からガンダム作品の海外への輸出や、女性ファン獲得のための梃子入れが活性化していたことから、ガンダム作品に単純明快なストーリー構成が求められるようになった







ガンダム作品の世界観をよく知らない女の子にそれを説明するのは非常に難しい






また、この時代以降にガンダム作品を観るようになった人たちに我々が生きてきた時代を感じてもらうことも非常に難しい







そうなると「戦争を起こしたジオン軍は悪者」という認識が一般化してしまい、戦争という政治現象がどういうメカニズムで勃発するのかという最も重要なメッセージを伝えることができない







OVA「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」という物語は、この段階に入ってようやくジオン軍側の軍律や矜持というものを演出するようになった







逆に地球連邦軍の司令官を冷酷な政治将校にすることで、UC. 0079 という社会の政治情勢を説明している







とはいえアニメ作品の製作事情が劣悪だった90年代であり、戦闘シーンを演出することが難しいラボ事情もあってスピード感に溢れた演出に限界が発生していたことも事実だった






これによりまたも「百点満点のガンダム作品」を完成させることができず、逆にそれを求める我々世代のエゴが現代も尚、一年戦争の映像化を病的に欲してしまう土壌を作り出してしまっている

















おわり