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「生きる」は黒澤ヒューマニズムの名作とされている。

ガンに冒され死期を感じ取った男の混乱と焦りを描いた作品で、映画は大きく2部構成になっている。

前半は役所勤めの無気力な主人公がガンを察知したパニック描写が続き、混乱の挙句に若い女性の言葉をヒントに、自分がすべきことを見出し再出発を決意する。そして偶然居合わせたパーティーをする人たちのハッピーバースデーの歌の中を去っていく。

明らかにバースデーは主人公を送る映画的描写なのだが、いささかあざとく感じてしまう。

後半は時間が飛び主人公の葬儀シーンになる。そこに集まった人の会話はやがて主人公の不可解な行動を考え始める。

そしていくつかのエピソードや訪れた警官の話から事実を再構成し、主人公の勇気と行動力を称賛し、無気力な自分たちを反省し鼓舞するシーンで葬儀シーンは終わる。のだが、結局はまた同じような無気力な役所仕事の日々が続くことで映画は閉じる。

 

観客としては前半に主人公の苦悩を知っているので、後半の葬式の展開で運命を知った上での主人公の行動だと同僚がなかなか気づかないのが鈍感すぎるように思えてしまい、いささかもたつく気分になってしまう。もう少し整理すると見やすくなったとも思える。

前半を後半に入れ込み、主人公の葬式から映画を始めいろいろな証言などを時系列的にフラッシュバック風に挟み込み、最後にすべてのピースが当てはまる。といった展開にするとスッキリすると思うのだが。

 

とはいえ名作を批判するなどといった不遜な考えはない。ただ個人的にはこのほうがドラマとして見やすいし盛り上がると思ったまでなのだが、しかしこうしてしまうと映画というより舞台劇のようだし「市民ケーン」になってしまうかな?