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空腹の時にスパゲッティを出されたらビフテキが食べたくてもスパゲッティを食べるべきだ。

デヴィッド・リーンの映画「旅情」に出てくるセリフだ。当たり前のことを言っているみたいだが、意味はかなり比喩的で、私は理想の男ではないかもしれないが男が欲しければ私で我慢しなさい、という意味なのだ。

もはや若いとは言えない独身女性の、楽しいはずのヴェニス一人旅行で孤独な時間にうんざりしている時、偶然知り合ったイタリアの中年男性から言われてしまう訳だが、かなり核心を突いたあけすけな言葉で、そこがイタリア男らしいというものか。

とはいえ原作はブロードウェイの舞台劇で、監督はイギリス人という面白い取り合わせではある。

ところで字幕もテレビの吹き替えもスパゲッティとなっているのだが、実は原語ではラビオリと言っている。当時1955年頃の日本ではほとんど知られていない食べ物だったので、イタリアのイメージからスパゲッティにしたということを翻訳の清水俊二が書いていた。それ以降スパゲッティで定着してしまったようだ。

 

現在では数年前よりのイタ飯ブームもあり、ラビオリはおろか本格的パスタ料理も食せる時代だが、当時の日本におけるスパゲッティというと喫茶店のナポリタンやせいぜいミートソース程度だった。しかしナポリタンは日本的にアレンジした調理法で外国人には甚だ評判が悪いという。

とはいうものの原初体験でのナポリタン世代には格別の味であり、ジャパニーズフードとしてこれからも残ってほしいB級グルメ料理の一つなのだ。

 

と、ナポリタンの話になってしまったが、リーンというと「アラビアのロレンス」や「ドクトル・ジバゴ」といった大型映画のイメージが強いが、「旅情」はそれら大作と違いユーモアもありリーン自身自作の中でもお気に入りの作品だったという。

リーンは「ドクトル・ジバゴ」の後に作った「ライアンの娘」が批評家の評判が悪かったようで、そののち暫くは映画を作らず14年後に作った「インドへの道」を発表し、それが遺作となった。

 

因みに、当然ながらナポリタンはナポリに存在しない。