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流行とは時代と切り離せないものがある。

子供の世界において、その時代を象徴するブームに夢中になっていると、大人になってそれらがノスタルジーのカケラとして、心和ませる精神のサンクチュアリ的に存在しているのは、ある意味幸せなことだと思う。

とはいえ、それに埋没するあまり、そのために生きてしまう人は幸せを通り越した勇者の境地になれるだろう、が、人生破綻しなければいいよね。

 

時代の象徴としてのブームのひとつとして、19世紀末のヨーロッパとりわけパリを中心にしたベルエポックに花開いたアールヌーヴォーが未だに人気があるようだ。

しかし、時代の欲求は20世紀の声と共にその座をアールデコに明け渡すこととなる。

アールヌーヴォーとアールデコ、登場したのはほんの数年の違いながらその姿勢は対照的ともいえる。

一例としてアルフォンス・ミュシャに代表される植物的装飾過多を、アールヌーヴォーの一つの方向とするなら、対してアールデコは人工的幾何学的な線によって構築され、それは装飾性を排した工業デザインの機能美や建築デザインに見ることができる。

そこが、前回挙げたブラックオックスに、そのアールデコ的な美を感じてしまう所以でもある。

 

飛行する機械は余計な装飾があると飛行の邪魔になり、空気圧の余分な抵抗となり破損の原因にもなるので、必然的に飛行機械はシンプルなデザインにならざるを得ない。

その究極的なまでに無駄な装飾を排除した飛行船のデザインは、まさに巨大なアールデコ作品といえるだろう。

「インディジョーンズ最後の聖戦」で飛行船は交通手段として登場していた。それにより時代背景が読み取れることになる。

飛行船が交通手段として消えていった理由は、1937年に起きた水素ガスの充満した飛行船ヒンデンブルグが、静電気の火花によって炎上したといわれる、36人が死亡した悲劇的事故によってだった。

 

飛行船は空気より軽いガスで浮く大きな風船であり、ドイツのツェッペリン社が最大の製造会社だった。

既に不燃性ガスのヘリウムが開発されていたものの、ヘリウム生産国であったアメリカはナチスの台頭に危機を感じ、ドイツに輸出を禁じていた。よって危険な水素ガスで充満した飛行船をドイツは作り続けることとなり、ヒンデンブルグ号の炎上を起こしてしまった。

弾が当たればすぐに爆発炎上する巨大な的のような飛行船は、兵器として使えない以上その運命は決定されたといえよう。

 

そのヒンデンブルグ事件を描いた映画は、ズバリ「ヒンデンブルグ」。

映画では静電気炎上とは違うストーリーで描かれてはいるが、最後の炎上シーンは実写を使用するため突然モノクロになるという荒業に出ている。

近年、飛行船の出てくる映画で印象的だったのは「スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」というやたら長い題名ではあるが、内容は痛快冒険活劇映画で、CGによる様々なレトロフューチャー兵器の登場する、いわば小松崎茂的とも思えるレトロ空想活劇映画だ。

ヒットしていればシリーズ化されたかもしれなかったが、かなりの大赤字だったようでそれ一作だけになってしまった。

今では宣伝媒体や研究手段として飛行船を飛ばすことはあるが、実用で飛ぶ飛行船は無く、出来れば今の技術を結集し安全な、スピードより優雅な空中散歩のように空を移動する手段として飛行船が復活すればいいと思うのは、あまりにアナクロなレトロ趣味だろうか。