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柳の下にドジョウは二匹いない、とはいうものの洋の東西を問わずそれを人は夢見てしまうようだ。ところがドジョウどころかカミツキガメに噛まれてしまうかもしれない昨今ではある。

 

映画の世界でヒット作の続編を作りたがるのは、商売の観点から止むを得ないことではあろうが、成功した作品は数えるほどしかない。

オリジナルが名作傑作であればあるほど、それを超える続きを作ろうというのは暴挙に等しいといえるだろう。

企画の貧困さなのか近年でもそんな映画がまた増えている。

「メリー・ポピンズ」は、子供たちの理想的な家庭教師の繰り広げる、シネミュージカルのというかファンタジーの傑作だった。

風に乗って降りてきたメリーの繰り広げる、おもちゃ箱をひっくり返したようなひと時は楽しさにあふれて、楽しくも時にしみじみと感動的なシャーマン兄弟作詞作曲の名曲ぞろいだった。

原作は8冊あるシリーズものだが、54年後に作った続編「メリー・ポピンズ リターンズ」は直接の続編というより、近年はやりの成長した人々のエピソードであり、舞台を25年後にして、オリジナルに登場した姉弟が成長した家が舞台となって、メリーとの楽しい時間が描かれている。

 

とはいえ結局は、前作のように鑑賞後にすぐ覚えられて耳にいつまでも残るような曲が作られているわけもなく、なんで作ったのかなという感は否めない。

むしろ「メリー・ポピンズ」ならば、気難しい原作者P・L・トラヴァースとの映画製作にまつわる葛藤を描いた「ウォルト・ディズニーの約束」が良い。

 

続編ではないが映画製作の裏話的なエピソード満載で、子供作品に思われる「メリー・ポピンズ」が実は父親の再生がテーマで、ラスト近くに歌われる「凧をあげよう」が重要なテーマだったと分かる内容となっている。

それまで難癖ばかりつけていたトラヴァースの本音が、映画試写を見たときに明らかになるラストが実に心地よい。

楽しい作品を書いても作者本人は付き合いづらい人だったようだ。

因みに、映画で使われた「2ペンスを鳩に」はウォルト・ディズニーが毎日聴いていたというほどのお気に入りだったという。

 

オリジナルのメリー・ポピンズを演じたジュリー・アンドリュースは、同時期の「マイ・フェア・レディ」オリジナル舞台版での主人公だったのだが、映画版では製作者の興行的な判断でオードリー・ヘプバーンに変更されてしまうが、アカデミー賞は同情票からかジュリーの手に渡ったのは有名な話だ。

彼女は実は日本に対していささか嫌悪を抱いていたという事だった。というのは第二次大戦中に叔父さんが日本軍の捕虜になった時の苦労話を聞いていたからだという。

 

それぞれ葛藤の挙句に出来上がるのが映画なのだが、観ているほうは楽しければ良いのである。