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疲れている。ひと晩中自分のいびきで眠れなかった。

筒井康隆の「脱走と追跡のサンバ」の書き出しだ。

筒井らしいギャグだと思っていたが、歳を取ると実際に眠りかけるときに自分のいびきで目が覚めることを知った。さすがにひと晩中ということはないが。

 

筒井康隆初期のドタバタナンセンス作品群のパワーは中毒性がある。その初期作品のほとんどすべて読んでしまったと思う。

映像作品でもっとも有名なのは「時をかける少女」だが、これは児童物で筒井作品としては異色作に分類されるだろう。とはいえ大林信彦の映画化は大林ワールド全開の傑作に仕上がっている。      

「七瀬ふたたび」もドラマ化が繰り返されているのだが、この作品は七瀬3部作の第2作で、どういう訳かこの2作目ばかりがドラマ化されることが多い。3部の「エディプスの恋人」は伝奇SF的な雰囲気の作品で一度も映像化されてはいない。

映像化された両作品はSFとはいえ青春物やサスペンス物なので作りやすいのだろう。

筒井ナンセンスの映像化は文章以上に面白くするのはまず不可能に思え、挑戦する人はなかなかいないようである。

 

筒井作品は後期に至ると実験性が増してきて難解な作品が増えてきた、そのターニングポイントと思われるのが冒頭の「脱走と追跡のサンバ」なのだが、この作品を要約しようとすれば発狂必至である。