難しいことを考えない西部の男たち | dvconのブログ

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前回触れた「ヒズ・ガール・フライデー」を監督したハワード・ホークスは多彩な作品を残して、西部劇では「赤い河」と「リオ・ブラボー」が名高い。

痛快娯楽西部劇の代表作のような「リオ・ブラボー」は、ジョン・ウエインを始めとしたキャラクターたちが悪役も含めノビノビと西部劇をしている。

失恋から飲んだくれて身を持ち崩したディーン・マーティンの再生ドラマと見ることもできるが、絵にかいたような勧善懲悪物で、何も考えずに楽しむのが正しい鑑賞方法といえよう。

流れ者のセクシーねぇちゃんを演じたアンジー・ディキンソンは、後にテレビシリーズ「女刑事ペパー」で人気が出たが、彼女の映画デビュー作でもある。

                   

有名な話だが「リオ・ブラボー」は「真昼の決闘」のアンチ・テーゼとして作られたといわれている。

「真昼の決闘」がたった一人で悪人達と対決しなければならなくなる保安官の、苦悩とジレンマを描いたリアリズム西部劇で。当時のレッド・パージに対する批判も匂わせて、主役のゲイリー・クーパーはアカデミー賞を受賞した。

ホークスとウェインはそのアメリカ的ではない「真昼の決闘」に対して、本当の(というか、自分たちの理想というべきか)西部劇を作り上げた訳だ。

 

そういった王道の西部劇は、監督ホークスの娘が書いたラストの悪人達と対決するシーンのメモ書きから作られたといわれている。

そのメモを元に書いた脚本家の一人はリィ・ブラケットという女性で、本業はSF作家でもある。ホークス作品に携わったのは他に「三つ数えろ」「ハタリ!」「エル・ドラド」「リオ・ロボ」があり、遺作は「スター・ウォーズ帝国の逆襲」だった。

 

「リオ・ブラボー」はヒットし、ホークスはその後に作った西部劇「エル・ドラド」と遺作の「リオ・ロボ」の主役は同じくジョン・ウエインで、少人数対悪人集団というパターンが、ほとんど同じような展開となってしまっている。三部作というかセルフリメイクというか三つ子のような作品群かな。

「エル・ドラド」のロバート・ミッチャムに至っては「リオ・ブラボー」のディーン・マーティンの設定そのものだった。

巨匠といえどヒット作の快感が忘れられなかったのであろう。

しかし、フランスではホークスをジョン・フォード以上に評価しているようなのだ。