神かフォードか | dvconのブログ

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ブロードウェイの舞台劇「ミスタァ・ロバーツ」は、太平洋戦争中のおんぼろ輸送船を舞台にした、とんでもない船員ばかりが登場する作品で、ヘンリー・フォンダ主演によりロングヒットした作品だ。

戦争中でありながら戦闘とは縁がなく、戦艦や駆逐艦等に補給品を運ぶだけの毎日にうんざりし、その間の抜けたような日常に浸りきった中で船員たちの起こすトンデモエピソードが繰り広げられる。

波風立てずに任務をこなし余計なことをしなければ汚点も残らないので、結果的に得られるであろう昇進を願う暴君艦長と、奇人揃いの船員の間で良識人の副長ミスタァ・ロバーツの爽快な行動を描いていく。

しかし変な登場人物の中で実は最も変な人は、戦闘に参加したくて悶々としているミスタァ・ロバーツに他ならない。

タカ派的発想が正義だった戦中の物語なので当然かもしれないが、あまりに好戦的な人物設定に思えてしまう。

とはいえ、ある取引により船員たちから受けた誤解が解けた後に発せられる「おやすみなさいミスタァ・ロバーツ」はなんと心地よく響くことか。

 

ヒット舞台劇が映画化されるのはありふれたことで、「ミスタァ・ロバーツ」も当然のように映画化が企画され、主演は当然ながらヘンリー・フォンダで監督はジョン・フォードと、的確な人選だったろう。

フォード作品には何作も出演しているフォンダだったが、主演舞台の映画化だったためもあり監督フォードに演技の主張を始めた。

自分の演出にあれこれ言われるのが嫌いなフォードは、最初のカットを撮った後、口論となったフォンダを殴ってスタジオから出て行ってしまい、それきり戻ってこなかった。

監督はマービン・ルロイがフォードタッチを巧みに引き継いで映画は無事完成した。

その後フォードとフォンダが映画で組むことはなかった。

 

別の映画では、自分の演技が不満だと撮り直しを求めた俳優に、フォードは「俺が満足しているからこれでいい」と言ってもどうしても撮り直したいと言うので、撮り直しに応じることになった。

撮影が終わりフォードが「これで満足か?」と尋ねると俳優は「大満足です」と笑顔で答えた。

するとフォードは撮影カメラを開けて「満足ならこれを持って抱いて寝ろ」と撮影したフィルム一巻を取り出し俳優に渡し去っていった。