非日記 - fictions.
友人との他愛ない会話。仕事がどうだとか、あの番組がどうだったとか、最近そっちの方はどうなんだとか、至極ありふれた会話。そう言えば天気の話は一言もなかったが、思えば私と彼の距離はあまりに遠い。私はあちらの天気に興味は無かったし、そしてそれは彼にとっても同じことだったのかも知れない。
ただ、心の距離で言えばどうなのかと思えば、また話は違ってくるのだ。彼の空が曇ってはいないか私は気になるし、私の空が泣いてはいないかと、彼も案じてくれている。それは 私たち二人にとっては既に当たり前のことだったが、同時にありがたい事でもあるのだということを私たちは忘れない。
終話ボタンを押して携帯電話を折りたたむと、先ほどまで胃の辺りで脈動していた筈の何かがすぅっと潮でも引くように、静かになった。
手元のコーヒーは既に冷えきっていたがそれでも最後にと一口すすって、私は腰を上げる。明日も早い、そろそろ寝なくては。
〔今度いつ帰る?〕
就寝前、彼からメールが届いた。私は返答をせずに布団に潜った。