先生が紹介状を書いている間、痙攣を予防する点滴をしながら、薄暗い部屋で寝かされていた。


ご飯の心配をしている場合ではない。


命に関わることもある。


何が悪かったとか、そういうのはないから自分を責め無いようにと言われた。


たまたま母がいてくれて助かったのは、受け入れが可能となったら先に総合病院の受付に行かなくてはいけなかったからだ。


夫は仕事。


私は助産師さんと初めての救急車に乗ることになった。


ピーポーピーポー


サイレンが近づき、自分が運ばれるんだと実感する。

動けるのに、担架に乗せられ狭い通路を移動しストレッチャーに移される。

されるがまま。


救急車は揺れて揺れて、5分間隔の痛みが辛かった。


陣痛でないならこれはなんなんだろう。


10分もせず総合病院に到着。


不思議な空間に、スタッフがとにかく沢山いた。レギンスもパンツも脱がされ、内診しエコー。


腕には何か所も点滴と採血。


下痢のため水を飲んでいなかったので採血取れない。


刺されては失敗。


蛇行して刺せない。


そんなこと言われても。。。ごめんなさい。


早期胎盤剥離などなかったため、スタッフが減る。


頑張って採血しているベテラン風の看護師さんと話す。


「なんか重症者みたいですね。」


「結構重症よ。」


あ、そうなんだ。

自分ではただ5分間隔の陣痛が来ているただの妊婦なんだけどな。


向こうで話し合いが行われている。


詳しくは聞こえない。


レントゲンを撮られ心電図検査をし、緊急帝王切開のための準備も同時進行される。


一通り検査が終えると、母と夫が来ていた。


一緒に説明を受ける。

緊急帝王切開になる可能性、その場合の切る方向など色々と。


私は人ごとのように半分ボーッとしていた。

すると医師に足をトントンと叩かれ、また現実に戻った。


まだ心の準備も出来てなかったのに。

服が1枚しかないから妊婦健診のあとに買いに行くつもりだったのに。


そもそも、ほんとにお腹にいるのか、産まれてくるのか、半信半疑だったのに。

突然そんな話されても。


まずは促進剤で普通分娩を第一選択とします、ということだけは分かった。


そのまま分娩室に連れて行かれた。




自分に繋がる輸液ポンプ。

何種類もの点滴をどう組み合わせるか話し合われているが、人ごとのようだった。


とにかく私は5分おきに痛い。



つづく