プロスペクト理論(その2)
前回の「デイトレに役立つ心理分析①プロスペクト理論(その1)」で、なぜ人は利確を急いでしまうのか、という点をプロスペクト理論から解説しました。
では、人である限り、早すぎる利確は避けられないのでしょうか。
いやいや、なんとかできるんじゃない?
というのが今回のテーマです。
まずは知ることによる効果ですね。
例えば下記のような状況に陥ったとしましょう。
はい。最近、日経平均がだだ下がりですからね。こんなふうになってしまうことが多いんじゃないでしょうか。
こんな心理状態のときこそ、プロスペクト理論のことを思い出してください。
いかがでしょうか。
パニックになって利確してしまうときよりも、一拍置くことができますよね。恐怖感は消えないかもしれませんが、今はこういう本能的な反応に支配されているんだと気づくだけで、冷静さを取り戻すことができます。
この「正しく怖がる」とともに、もう一つ私たちがコントロール可能なものがあります。
それは、投資資金の多寡です。
例えば、株の含み益を100万円ではなく、100円にしてみたらどうでしょう。含み益100円のために利確する人いないですよね。この場合は十中八九、保有を継続するはずです。
ここから導き出されるのはプロスペクト理論の行動パターンは、額によって打ち破れるということです。
(金額の多寡による行動変化はまた別の理論がありますので、あらためて取り上げます)
100万円ではなく100円だと大丈夫ということは、100円のリスク許容度が高いからにほかなりません。
では、これが1000円だったら?
あるいは、1万円だったら?
リスク許容度は人によってまちまちですが、必ずその人の許容ラインがあります。
そこを下回っていれば、期待値に沿って冷静に行動できる可能性が高まります。
期待値の高い行動を取るということは、迂闊に利確せず、利益を伸ばしていけるという状況につながります。
投資は余裕資金でやるべき、とは、プロスペクト理論に裏付けられたものでもあったわけですね。
余裕資金でやる場合も、日々の利益に惑わされないよう、なるべく銘柄を小分けにするといいかもしれません。この辺りは、分散投資の有効性にもつながります。
さて、ここまでは、プロスペクト理論に基づき、早すぎる利確の背景を追ってきましたが、プロスペクト理論で説明できる投資行動はほかにもあります。
またしても長くなり過ぎてしまいましたので、次回に持ち越します。
次は
人はなぜ損切りをためらってしまうのか
をテーマにしたいと思います。